TOTO

展覧会について
展覧会概要
チリ・サンティアゴを拠点に活躍するアレハンドロ・アラヴェナ氏は、チリ・カトリック大学のコンピューター管理棟「シャム・タワー」(2005年)と各学科棟などの教育施設、ヴィトラ・チルドレン・ワークショップ(計画案)などの美術館、個人住宅や集合住宅など、多岐にわたる設計を手掛けています。また建築家としての活動と同時に、チリ・カトリック大学とチリの石油会社COPECとの共同により「ELEMENTAL(エレメンタル)」を設立し、その代表も務めています。シンクタンク(頭脳集団)ではなく、「ドゥ・タンク(行動集団)」と位置づけられたELEMENTALでは、政策から金融、環境、気候問題に至るまで諸々の条件を取り込みながら、建築家としての提案と実践による社会活動を行っています。例えば、チリにおけるソーシャル・ハウジング政策では、住民が入居後に自らの住居に手を加えることで、さらに資産価値を向上させることができるような仕組みを公共住宅設計に組み込み、デザインが社会に対して大きな価値と影響力を持ちうることを示しました。

アラヴェナ氏のこうした実績は、若くしてハーバード大学客員教授やプリツカー賞の審査員といった要職を務め、また国内外で数々の賞を受賞するという世界的な評価に通じています。

「The Forces in Architecture」と題された今回の展覧会は、アラヴェナ氏の日本/アジアで初の個展となります。中庭の仮設天井を埋め尽くすバルーンによって展示を床から浮かせることで、重力とそれに拮抗する力を演出します。また、日本でも話題になっている「座る」という行為を最もシンプルにデザインしたプロダクト「Chairless(チェアレス)」(ヴィトラ社)も体験いただけます。本展は、これまで氏がハーバード大学等で開催してきたいくつかの展覧会同様、頑丈な梱包や高額な輸送費を不要とする簡易な展覧会パッケージから構成されていますが、こうした展示空間のつくり方からも、「そのプロジェクトで何が一番問われているか」を突き止めようとする独自のデザイン・アプローチを見てとることができます。

世界が今直面している状況の中で、まさに求められている建築家のあり方のひとつを提示している、アラヴェナ氏の取り組みをぜひご覧ください。
会場写真
[1] エントランス
© Nacása & Partners Inc.
[2] 第1会場全景
© Nacása & Partners Inc.
[3] 1枚の紙に切り込みを入れ、折ることで組み立てられた模型(10作品)
© Nacása & Partners Inc.
[4] 「キンタ・モンロイの集合住宅」模型
(壁面に組み立て前、キャンチレバーの先に組み立て後)
© Nacása & Partners Inc.
[5] キャンチレバーに括りつけられた糸の先の針は、重力に逆らい、壁に向かう(影に注目!)
© Nacása & Partners Inc.
[6] ワイヤーと斜め材とのバランスで水平を保つ約150kgの無垢材。その上に木製のボリューム模型(9作品)が並ぶ
© Nacása & Partners Inc.
[7] 「セント・エドワード大学 学生寮」ボリューム模型
© Nacása & Partners Inc.
[8] 水平材と斜め材との接合部
© Nacása & Partners Inc.
[9] 「レンカの集合住宅」住人によるワークショップ模型
© Nacása & Partners Inc.
[10] 屋外展示。仮設天井に浮かぶバルーンは、風雨によってさまざまな様相を表す。
© Nacása & Partners Inc.
[11] プロジェクトの情報が記載されたカード付きの木の枝
© Nacása & Partners Inc.
[12] 第2展示室全景
© Nacása & Partners Inc.
[13] 椅子いらずの椅子(?)「チェアレス」
© Nacása & Partners Inc.
[14] 「チェアレス」で座ってビデオを視聴する
© Nacása & Partners Inc.
[15] X型のブックシェルフで関連書籍を見る
© Nacása & Partners Inc.
代表作品
[1] キンタ・モンロイの集合住宅(チリ、イキケ、2004年)
© Tadeuz Jalocha
[2] チリ・カトリック大学建築学棟(チリ、サンティアゴ、2004年)
© Tadeuz Jalocha
[3] チリ・カトリック大学医学棟(チリ、サンティアゴ、2004年)
© Víctor Oddó
[4] チリ・カトリック大学シャム・タワー
(チリ、サンティアゴ、2005年)
© Víctor Oddó
[5] セント・エドワード大学学生寮(アメリカ、テキサス州オースティン、2008年)
© Michael Hsu
[6] チェアレス(ヴィトラ社、2010年)
@Vitra
展覧会情報
展覧会名(日)
アラヴェナ展
展覧会名(英)
Alejandro Aravena: The Force in Architecture
会期
2011年7月27日(水)〜10月1日(土)
開館時間
11:00–18:00(金曜日は19:00まで)
休館日
日曜・月曜・祝日・夏期休暇 2011年8月12日(金)〜16日(火)
ただし2011年9月25日(日)、26日(月)は開館
入場料
無料
後援
社団法人 東京建築士会
社団法人 東京都建築士事務所協会
社団法人 日本建築家協会関東甲信越支部
社団法人 日本建築学会関東支部
特別後援
チリ共和国大使館
関連プログラム
2011年7月27日(水)
TOTO出版関連書籍
著者=アレハンドロ・アラヴェナ