TADAO ANDO ARCHITECTURE, 'CHALLENGES - FAITHFUL TO THE BASIS'
2008 10.3-2008 12.20
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■安藤展が大阪へ巡回します!詳しくはこちら


2008年10月、建築家 安藤忠雄氏の展覧会を開催します。ギャラリー・間に「住吉の長屋」を原寸大模型で再現!! 建築をぬける風

私の初期の仕事である「住吉の長屋」の核心は、狭い敷地の三分の一の面積を占める中庭の存在にあった。
住まいの中に直に自然が入り込んでくる分、冬の寒さは厳しい。
雨の日には傘をさしてトイレに行かねばならない。
住まい手に不便な生活を強いる提案は、ときに建築家の横暴と批判を受けた。

だが、住まいの何を喜びとするかは、そこで過ごす人間の価値観の問題である。 大阪下町の猥雑な都市環境を前に生活とは何か、住まいとは何かを徹底的に考えた末、私は、自然と共にある生活にこそ人間生活の原点があるという結論に行き着いた。スペース、コストともに極限に近い条件下での都市住宅——だからこそ安易な便利さより、天を仰いで“風”を感じられる住まいであることを優先した。

この小住宅を原点として、今日まで30年間余り建築活動を続けている。年代を重ねるごとに仕事の規模は大きく複雑化して、現在は欧米から中東アジアまで、世界各国で都市プロジェクトを手掛ける状況だ。

だが、“建築を通じて何を表現するか”という根本の姿勢は30年前から何も変わっていない。15坪足らずのコンクリートの長屋、中東のアブダビで計画中のモニュメンタルな文化施設、あるいは現在、東京で進めている環境を主題とした都市再編プロジェクト——いつも心に描いているのは、人々の心に生の感動をもたらす建築をぬける“風”の情景、自然と共生しつつそこに住まう人間の意志を表現していく建築だ。

安藤忠雄


建築家・安藤忠雄氏は1970年代、建築雑誌『都市住宅』に執筆した初めての論文「都市ゲリラ住居」というマニフェストと、それを体現した独立住居「住吉の長屋」によって広く社会にその名を知られる存在となり、以降、現代社会の批判とも言うべき斬新な建築作品をつくり続けてきました。1990年代後半からはその活動の舞台を徐々に世界に広げてゆき、今日ではヨーロッパからアメリカ、アジア、中近東にいたる世界各地でグローバルな活動を展開しています。

本展は、そうした安藤忠雄氏の30数年に及ぶ建築活動を、それぞれがつくられた”場”に注目して振り返り総括しようとするものです。大阪、神戸、東京、ベニス、アブダビ、メキシコ、バーレーン—ここで採り上げられる10件余りのプロジェクトは、つくられた”場所”のみならず計画時期、スケール、プログラム共に全く異なる状況下の建築ですが、その多様な表現の背後には、ある一貫した建築家の思想が見受けられます。建築を単体で考えるのではなく環境形成の手段として捉えるという、より総合的な建築の考え方、そしてそれを自然と建築との”共生”によって実現しようという自然に拠る建築の方法です。この点において、30年前に大阪都心部の密集住宅地につくられた極小住宅「住吉の長屋」と中東のアブダビで計画中のモニュメンタルな文化施設「アブダビ海洋博物館」は一本の線で結ばれるのです。

会場には、安藤建築の”原点”に当る「住吉の長屋」を原寸大模型で再現するとともに、それぞれの”場所”に息づく安藤建築をスケッチ、模型、ドローイング、映像などでさまざまな角度から紹介して本質に迫ります。”環境”が主題とされる現代にあって、”場所”と”自然”との関わりを一貫して追い続ける安藤忠雄氏の建築活動の軌跡を辿ることは、未来へつながる重要な視座を与える機会となるでしょう。

独学で建築を学び、ボクサーから建築家へ転向後、1969年、28歳にして大阪の梅田に事務所を構え、たった独りで社会に踏み出した建築家 安藤忠雄氏。仕事がなく、読書に耽り、頼まれてもいない設計案を練っていた日々からおよそ40年の歳月が過ぎた今、無名の青年だった氏は、その腕一本で築き上げてきた建築作品で世界中から名だたる賞を受賞するに至り、国民的建築家と称されるまでに飛躍を遂げています。

ギャラリー・間では、2008年10月より、現在、ますます精力的に活動を展開している安藤忠雄氏の展覧会を開催します。ギャラリー・間の小空間に凝縮される安藤建築ワールドに、どうぞご期待ください。

なお、本展覧会は、TOTO出版にて刊行中の『安藤忠雄の建築』の出版を記念して開催するものです。全3巻で構成される本シリーズのうち、第1巻(Houses & Housing)と第2巻(Outside Japan)を、展覧会に先駆けて発売しています。建築をつくる勇気を与えてくれる、決定版作品集。こちらも、ぜひご覧ください。
■ 作品集のご案内

安藤忠雄の建築 0(Tadao Ando 0 Process and Idea)最新刊発売中!!

安藤忠雄の建築 3(Inside Japan)大好評発売中!!

安藤忠雄の建築 2(Outside Japan) 大好評発売中!!

安藤忠雄の建築 1(Houses & Housing) 大好評発売中!!

■開催時間
11:00−18:00
金曜日は19:00まで
■休館日
日曜・月曜・祝日
(10/26、10/27、11/2、11/3は開館)
■入場無料
住吉の長屋(大阪、1976)
住吉の長屋(大阪、1976)
© 安藤忠雄建築研究所
東急東横線渋谷駅/模型 (東京、2008)模型
東急東横線渋谷駅/模型
(東京、2008)
© 安藤忠雄建築研究所
プンタ・デラ・ドガーナ再生計画/模型(ベニス, イタリア、2009)
プンタ・デラ・ドガーナ再生計画
模型(ベニス, イタリア、2009予定)
© 安藤忠雄建築研究所
アブダビ海洋博物館(模型、200*竣工予定)
アブダビ海洋博物館/模型(アブダビ、アラブ首長国連邦、計画中)
© 大橋富夫
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