大変なこと
佐々木睦朗さんは木村俊彦構造設計事務所の大先輩。SAPSとしても、同じく木村事務所の先輩である池田昌弘さん,久米弘記さんなどツワモノを擁している。
私は木村事務所の一番最後の弟子だから、今回の展覧会のオープニングパーティーなど、先輩たちが大集結していて、なぜか“すみません。”などと言いながら頭を下げっぱなしでした。
素直なこと
この日はSANAAのお2人と、作品の画像を見ながら当時のやりとりを思い出して一緒に話してゆくという、肩の力の抜けた面白い対談形式。妹島さん,西沢さんは素朴な口調で建築を組みたててゆくプロセスを語られ、佐々木さんは、この日は学生が多かったこともあってか、生徒に諭すように丁寧に話されていた。
内容も構造の基本的なことが中心で、構造設計者としては話に少々もの足りない印象もあったが、
・肉厚のBuilt−H形鋼や、ムク材の柱を駆使すること。
・ブレースのガシガシ入った剛強な耐震コアと、鉛直荷重だけを負担する柱とに
明確に分けること。
といった辺りは佐々木さんの得意技。
・柱脚を固定してやると座屈に強くなること。
・屋根から吊ることによって圧縮が生じないようにすること。
といった具合で、授業で出てきたでしょう、という口調だった。
ペラペラに薄い壁、針のように細い柱。こういったことがごく基本的なことの組み合わせで成立させられることが良く分かったのではないかと思う。
こうして生まれてくる計画は、力の流れがよく分かるものとなっていて、堅実で正統派なところが好印象を受ける。この考え方は形態解析の手法にも継承されていて、力の流れがよく現れる形態を生み出すものとなっている。
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