Body
身体は、今のところ人間が環境と直接対話する唯一のインターフェイスである。制度やプログラムといった概念のフィルターを通して建築をとらえることは、あらかじめ決められた意味を追認していく作業であり、身体を通して場の意味を読み解く行為とはなりにくい。一方、建築の身体性/カタチはプログラムやコンテクストを剥ぎ取っても、そこに存在するだけで身体と対話し「場」の意味生成に作用することができる。
ここでは、未発表作品を含む6プロジェクトをとり上げ、これらにおけるカタチのエッセンス(壁/面のタイポロジー)をフラグメントとして切り出す。来場者は、プログラム、テクスチャー、スケール、環境から切り離された建築の断片が生み出す新たな空間に向かい合うことになるだろう。この展示はシミュレーションやリプレゼンテーションに留まらず、身体とカタチとの直接的な対話の場となる。
阿部仁史 |