トラバーチンと
黒い木で一体感を

 タワー南側の外周柱は内まわりと外まわりの2本の地下道路の中央分離帯に立っている。建物の地下軀体に道路軀体がのっており、建物の一部を地下トンネルが貫通した恰好だが、防災上、建築と道路の構造は明確に区分されているという。
 設計にあたった日本設計加藤弘治さんは「同じ東京都でも建築と土木の部署は別であり、横の連携を図るのは大変でしたが、建築だけでなく土木の担当の方たちにも全面的に協力していただいたおかげで実現に至った。互いの協力と理解がなければ、建築と土木が一体になった今回のような建物はつくれませんでした」と振り返る。
 オフィス・住宅・ホテルが3段積みになった超高層ビルは恐らく日本初で、構造を切り替える技術が駆使されているが、その一方で、外観は異なる用途を積層した建物全体を1棟のシルエットとして見せるため、縦ラインを強調したデザインを採用したとのこと。
 一体感を大切にしたデザインは、内部にも見てとれる。植木莞爾さん率いるカザッポ&アソシエイツが手がけた。2、3階吹抜けのオフィスロビーは、床にトラバーチン、壁には黒く染色した木を用いているが、オフィス基準階のエレベータホールの一部や、エレベータ内部の床にもトラバーチンを採用。共用部のコア側の壁にも黒い木のイメージの木質系シートを採用している。
 オフィスの執務室はセンターコアを囲んでぐるりと一周できる約1000坪の無柱空間。タワーが道路をまたいだからこそ獲得できた広さといえる。室内は白い壁とグレーのカーペット敷きの床という、テナントが入りやすいニュートラルな内装だ。
 一方、トイレは木目調のシートや大理石モザイクタイルなど、素材感のある材料を生かした、やわらかな印象。「少しでもオフィスワーカーが気分転換できる空間にしようと、素材選びと明るさ感には気を配りました」と加藤さんは言う。


>>「オフィス階のトイレ」を見る
>>「商業階のトイレ」を見る
>>「アンダーズ東京」を見る

  • 前へ
  • 2/5
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら