2014年6月11日、東京の新ランドマーク「虎ノ門ヒルズ」がオープンした。地上52階建ての超高層タワーは、オフィス、住宅、ホテル、カンファレンス、商業施設などを擁する複合ビル。画期的なのは、整備が進む環状2号線の道路をタワーがまたいでいるという点だ。官民一体の再開発が実現に至った経緯と、各スペースや水まわりの設計のポイントを、関係者各位に聞いた。
都心と臨海部をつなぐ環状2号線の道路計画は、戦後まもない1946年に決定されたが、中小ビルが密集した新橋・虎ノ門地区では地元に留まることを希望する地権者が多く、長く停滞が続いていたという。そこに光明をもたらしたのが、89年に生まれた「立体道路制度」であり、これにより道路上に建築物をつくることが可能となった。
さらに、02年、施行者である東京都に対し、民間事業者として助言や提言を行う「事業協力者」に森ビルが選ばれたことも、このプロジェクトを大きく前進させた。
森ビルの渡邉茂一さんによれば、同社が参画する以前は、現在より小さな中層ビル4棟を道路を避けるように分散して配置する計画だったそうだ。それよりも地下に道路を通し、大きな1棟に施設を集約したほうが競争力のある計画になるというのが森ビルの提案であり、最終的に東京都はそれを採用。09年には森ビルが「特定建築者」に選定された。
もともと新橋・虎ノ門地区は森ビル発祥の地であり、アークヒルズや六本木ヒルズでも地権者とともに超高層複合ビルをつくりあげた実績がある同社だけに、この事業には不可欠な存在だったといえるだろう。





