TOTO
「光の家具」照明
 
「光の家具」照明
4刷
著者=坂川栄治
発行年月=2005年7月
体裁=A5判(210×148mm)、並製、172頁
ISBN=978-4-88706-252-8

装丁=坂川事務所

定価1,650円(本体1,500円+税10%)
夜は明かりを楽しむための時間――。
豊かなくつろぎを手に入れるための、明かりの使い方と考え方がいっぱい!
本書は、ベストセラー作品を多数手掛ける人気装丁家がつづる、照明で演出する上質な空間づくりの入門書です。高度経済成長期に普及した昼間のような明るさをもつ蛍光灯。住宅の洋風化にも伴って、光を優雅なものにする障子や行燈は蛍光灯に追いやられ、日本人には部屋の中は明るさが最優先という意識が根付きました。一方欧米では蛍光灯誕生以降も、シェイド・ランプや間接照明を調度品として長く愛し、その光を上手に操りながら、ほの暗い深みのある空間を演出し、くつろぎのある暮らしを実現しています。そんな欧米人の照明器具への愛着と光で演出された上質な空間は、なぜ日本人に広がらないのか? 

日本人の照明への感覚に疑問を感じた著者が、欧米と日本における照明への考え方を比較しながら、シェイド・ランプを効果的に使ってコンセントを差し込むだけで気軽にできる、くつろぎの空間づくりを提案します。実例写真やオリジナルのノウハウを豊富に交えながら、写真家としても活躍する好奇心旺盛な著者ならではの、プロとはひと味違ったユニークな照明観を新鮮な視点と独自の文体でつづります。

また、北欧生活で独特の明かり文化を体験し「光」について造詣の深い写真家の戸田嘉昭、インテリア・スタイリストで映画通としても知られる文筆家の吉本由美を迎えた著者との対談では、北欧での暮らしぶりや、映画の中での印象的な照明などの具体例をあげながら、日本人の照明感覚にちょっぴり皮肉を交えた軽妙なトークを繰り広げます。

蛍光灯では得られない繊細で柔らかな光を使いこなして、インテリアに安らぎとくつろぎを。照明でやさしさと潤いのある豊かな暮らしを提案する、上品な装丁のおしゃれな一冊です。
著者プロフィール
坂川栄治 さかがわ えいじ
1952年北海道生まれ。デザイナー・装丁家・文筆家・写真家。印刷会社、百貨店宣伝部を経て、87年に坂川事務所を設立。雑誌『SWITCH』のアートディレクターを創刊から4年間務める。その後、書籍の装丁を手がける一方、広告・PR誌・カタログ・CD・映画・空間デザインなど幅広いアート・ディレクションを行う。93年に講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。現在までに手がけた装丁は2,600冊を超える。
代表作に、吉本ばなな『TUGUMI』、ヨースタイン・ゴルデル『ソフィーの世界』、D.J.サリンジャー/村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』など多数のベストセラー作品のほか、TOTO出版では津田晴美『裏庭』、白井隆『庭の旅』を手がけた。著書に『写真生活』(晶文社)、“日本のサリンジャー”と評された『遠別少年』(リトル・ドック・プレス)がある。
対談者プロフィール
戸田嘉昭 とだ よしあき
静物写真家。1947年生まれ。ストックホルム大学附属写真専門学校卒。制約の多い商品撮影の分野で、品格のある美しい写真で多くの編集者から支持を集め、特に腕時計、宝飾品、化粧品の撮影には定評がある。女性誌を中心に主に雑誌媒体で活躍中。多忙な撮影の傍ら、後進の育成にも努めている。88年より写真スタジオ(株)パイルドライバー主宰。日本写真家協会、日本広告写真家協会会員。
吉本由美 よしもと ゆみ
文筆業。1948年熊本市生まれ。『アンアン』『クロワッサン』『オリーブ』などの女性誌でインテリア・スタイリストとして働いた後、執筆活動に専念。インテリア誌『エル・デコ』に映画のインテリア記事を連載。主な著書に『一人暮らし術・ネコはいいなァ』(昌文社)、『だからネコはやめられない』(ベストセラーズ)、『かっこよく年をとりたい』(筑摩書房)、『日本のはしっこへ行ってみた』(日本放送出版協会)、村上春樹・都築響一との共著『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』(文藝春秋)など。
コンテンツ

●本文
 1.今の日本の明かりを考える
    日本人は明るいのがお好き/日本のふつう、明かりのふつう/間違いだらけ? の日本の住宅照明
 2.外国のエッセンスに学ぶ
   「見せること」と「見られること」/青い目と黒い目/目からウロコの 海外旅行体験/センスを磨く、好奇心を磨く/居心地のいい小さ な部屋/居心地のいい明かり  
 3.ホテルの明かりに学ぶ
   コレコレと言いたくなるロビーの条件/なるほどと思うもう一つの照明計画/気後れと緊張感と洗練と快適のホテル
 4.照明は家具
   インテリアの言い訳、それでいいワケ?/夜のインテリア/忘れられがちな家具/デコボコが生み出す落ちつき/家具としての居場所
 5.シェイド・ランプを買う
   コンセントに差し込む最後の演出/シェイド・ランプの光と存在感/昼の顔と夜の顔/怖がらずに照明を買う/変えるのではなく加えてみる/明かりの足し算/ワンランク上の光  
 6.「自分らしさ」のある暮らし
   「自分らしさ」を見つける/明かりの豊かさと貧しさ

●コラム
 ・お試しコラム:お金がなくても味わえる、明かりの幸せ
 ・失敗コラム:パリの暗い暗い廊下
 ・またもや失敗コラム:壁の色塗りは難しく奥が深い
 ・憧れコラム:こだわりの光の行き着く先

●対談
 ・戸田嘉昭×坂川栄治「北欧の明かり話」
 ・吉本由美×坂川栄治「映画のインテリア話」

●巻末付録
 ・オススメの照明があるショップ・リスト

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