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現在のせんだいメディアテークの外観 |
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審査会の朝。参加者がメディアテークの周囲に集まる |
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1階審査会場。審査会の始まりを待つ参加者 |
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このイベントの誕生は、「仙台建築都市学生会議」(以下学生会議)が発足した2002年に遡ります。学生会議とは仙台を中心に建築を学ぶ学生有志が大学の枠を越えて集い当館を中心に活動する団体です。発足当時の学生会議の代表、北野央(きたの・ひさし)さんは「世界的に有名な建物のメディアテークが僕たちの住んでいる街に出来たことがきっかけです。学生の僕たちでもここなら何か新しいことが出来るんじゃないかと思って。」と語ります。この年彼らが企画した「仙台建築アワード2002」という卒業設計のコンペティションが母型となり、翌年から「卒業設計日本一決定戦@sendai」に発展していきました。既に学生会議とは6年越しになる濃密な関係を築いているわけですが、その間、全国的に見ても同種の団体、同種のイベントがゼロというわけではなかったにもかかわらず、どうして強大なライバルとなり得るものが出てこなかったのでしょう。
それはこの「世界的な建築」と「学生こそが主人公」そして「公開審査」という結び付きによるものでしょう。この明快な三つ巴こそ長期にわたって成長を続けてきた秘密と信ずべきでしょうが、人びとは、明快にして難解という相矛盾する条件を備えた卒業作品が、受賞したりまたあるいは埒外に位置づけられたりする、一種の人生ゲームの縮図にも似た緊張感にも魅了されているのでしょう。
実はオーガナイズしていく我われも同様の緊張感にさらされているのです。それは登録者の増加と作品の巨大化という問題以上に、必ず吹き出す種々の困難が毎年口を開けて待っているということなのです。毎年参加者が表で「天国と地獄」を味わっている最中、裏方には裏方の試練があるものなのです。あちらを補強すればこちらで雨漏り、こちらを増強すればあちらにひび割れと、さながら新人クリエイターの苦悩にも似てしかりなのです。
しかしながら、これらの既に限界的な煩雑さや困難を超えて裏方には裏方の喜びもまた存在するのでしょう。来年もまた当館が従来通りの若者達の血湧きそして肉踊る饗宴の場、クールで、しかし強烈な決闘場であることを願って止みません。
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