レクチャーは、農地の航空写真から始まった。そしてグリッド状に整然と開発された広大な農地に用水路が蛇行しながら貫いていく姿、微少に湾曲しながら直線状に植えられるブドウ畑の木々、律儀ともいえる正確さで等高線に沿いながら耕される茶畑と続く。こうした農耕の風景に興味がある、美しいと思う、と千葉さんは語る。さらに風力発電の風車が一直線に並ぶ風景、最後にサンフランシスコの地形をひろいながらまっすぐに伸びる道が映し出されたのだが、つまり農耕への興味というよりは、そこにあった自然のコンテクストと人為的なコンテクストが混じり合う風景を、あこがれと共に見つめているのだろう。それらは、珍しかったり、はっとするほどに美しい、というタイプの風景ではない。しかし必然から導き出された確固たる形式をもつ。今回の展覧会にあわせて出版された本の帯にあった「ジェネラリティ」とは、こういうもののことを示しているのだろう。その「ジェネラリティ」へ向かいたいと考えている千葉さんは、つまり個性的であろうとすることからすごく遠い立ち位置にいようとしている。そのことにあらためて気づく。 |
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講演中の千葉 学氏 |
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