そこにしかない形式を、見つけようとしているのだと思う。
建築はいつも、全く異なる条件のもとで生み出される。敷地の形も違うし、周辺環境も違う。もちろん気候や植生も違う。クライアントも違うしプログラムも違う。
この、一度限りの条件でしか成立しない形式を探そうとしているのだと思う。
予め用意した形式があるわけでも、何か決まった作り方があるわけでもない。毎回そこでの条件を、どのように関係させたりしなかったりするかを考えていくから、そこでしか成り立たないルールを探しているのだと言ってもいい。
展覧会では、そのような、環境との関わりから生まれる形式を示すため、人が中に入れるような敷地模型をつくることにした。環境と建築のリアルな関係性は、俯瞰するような敷地模型からは読み取れない。内部が容易に覗ける大きさの建築模型に、さらに周辺環境を作り込むことで、その形式がどのようにそこで作用しているかが分かるのである。実際の建築がそうであるように、敷地を歩いて近づき、周囲を巡り、そして内部に入り込んでほしい。そもそも出来上がってしまえば、敷地も建物も、一続きの環境なのだから。
千葉 学
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展覧会では模型やダイヤグラムを用いて、プロジェクト毎の「そこにしかない形式」を解き明かします。代表作「八ヶ岳の別荘」(2004年)、今年相次いで竣工の「恵比寿のギャラリー」、「日本盲導犬総合センター」、「platform」、「御殿山プロジェクト」(2006年)、現在計画中の「七里ガ浜プロジェクト」(2007年予定)、「Iプロジェクト」(2008年予定)の7プロジェクトを紹介する予定です。
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