展覧会レポート |
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レポーター:中野照子 |
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小泉は、家具もプロダクトもインテリアも建築も、すべて人が関わる「道具」と考えデザインしている。暮らしの道具が好きで、モノをデザインするのが大好きなデザイナーだ。
インテリアの流れの中で小泉を見てみよう。『SD』の1986年5月号では「内部からの風景 日本のインテリア・デザイン」を特集している。ここでは、戦後の日本のインテリア・デザイナーを4つの世代に分類している。曰く第一世代は豊口克平、渡辺力、剣持勇など。第二世代は境沢孝、倉俣史朗、北原進など。第三世代は梅田正徳、内田繁、杉本貴志など。第四世代は近藤康夫、北岡節男、飯島直樹、沖健次など。
第一世代にあたる1960年以前は次のようにいわれていた。椅子やカーテンなどマーケットにあるものを集めてデコレーションするのが「インテリア・デコレーター」で、「インテリア・デザイナー」はそれらの椅子やカーテンをデザインする人。「建築家」はデザインしデコレートする人で、いろいろなモノや仕事をつなぎ合わせ、とりまとめて、一つの秩序をつくる、というのだ。
その後、高度成長期を経て60年代に入り、日本のインテリア・デザインは大きく変わっていく。学生運動を始めとする世の中の動き、環境芸術とデザインの融合、新素材の開発、ファッション業界の隆盛。さまざまな要素が重なって、商業空間に突出したデザインが見られるようになる。第二世代はその開拓者、第三世代や第四世代は、ブティックや飲食空間に華々しい世界を展開した世代である。時代を映す商業空間のインテリアはアバンギャルドであろうとする。インテリアを語ることは時代を語ることでもあり、より思想的、論理的になっていく。その中にいた私から見ても議論のための議論があったと思う。そのくらい当時のデザイナーはみごとに突っ張っていたのだ。
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パノラマ撮影=コムデザイン |
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