特集3/独学の建築家

「御所西の町家」の時間性

——この「御所西の町家」を拝見していると、建築のもつ時間について考えさせられます。

森田 スペインに留学した2年間で、古い建物を改修して使い続けることの意味、そして建築における時間の表現について考えるようになりました。たとえば荒壁から上塗りまで何層にも重なるレイヤーをもつ日本の土壁について、これまでテクスチャーの違う層としか認識していなかったのですが、これは水平方向に積み重ねられた「時間」といえるのではないかと。
 この町家の土間では大津壁で仕上げられた既存の古い壁と新しく塗った荒壁が対面しています。この荒壁はものとしては新しいけれど工法としては原始的な壁です。そのせいか、一見するとどちらが古い壁なのか区別がつかない。荒壁はある意味ではこの町家よりもずっと古い歴史をもっているわけで、テクスチャーではなくその深層に潜む時間を表現するために、あえてそのままの状態で見せているのです。

——何か民家のようですね。

森田 ええ、町家というよりどこかの納屋のような感じになりました。ヨーロッパにも南米にもありそうだし、ネパールの民家にも見えます(笑)。


>> 「Mayu」
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