
福山と職人への想いがつまった建築
——この「後山山荘」は、地元福山の建築ですし、現場監督のときに出会った職人さんたちとつくっていますから、前田さんらしい建築ですね。
- 前田 ここでは、現場監督時代からの縁がある瓦屋さん、表具師さん、建具屋さんなどと一緒に仕事をしました。また「内海の家」と同様に地元の風土をよく考えてつくった建築です。ぼくは、地元・福山で活動しているということ、また現場監督の頃の経験、その両方を大切にしていきたいと思っています。「後山山荘」は、積算の経験を踏まえても、予算的にはかなり苦しかったのですが、地元の大和建設さんをはじめ、かかわった多くの人たちが、最後は福山の文化財を残そうという想いでつくりあげました。建築にとって金銭は不可欠だけれども、もちろん本質は金銭ではないのですから、こういう建築が残せないようでは未来はない、という想いを共有していました。
——コミュニケーションの大切さを痛感している前田さんだからこそ、そうした想いをつなぐことができたのではないでしょうか。
- 前田 職人の心意気、途絶えていきそうな技能、あるいは福山の風土などの大切なものを、お施主さんや世の中に伝えていくのは、建築家のひとつの役割だと思っています。
>> 「内海の家」
>> 「アトリエ・ビスクドール」
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