特集/ケーススタディ2

幹也 見える風景は、いくつもあったほうがよいということですね。
河内 そうですね。豊かな空間は何かと紐解くと、情報量が多いことに集約されると思います。ひとつの場所から見えるものは、重なれば重なるほどいい。ただし住宅では、浴室やトイレ、収納など、どうしても閉じないといけない部屋があります。今回はそれらをコアとしてまとめ、ストレートに抜けるスリットを3列に並べてプランを解いています。開口部は、この家では後から調整する意識がなかったので、フルハイトにしています。
幹也 表の通りから居室がのぞかれることは、気にされなかったのでしょうか。
河内 昼間は窓をあけていても、意外に室内は見えないものです。外からは室内のシルエットしか見えず、動かなかったら人か物かわからないほどです。距離感があるということを自覚することで得られる外とのつながり方もありますよね。完全に閉じてしまうとインテリアだけの関係性になってしまいますから、それは避けたいと思っています。
幹也 そうですね。計画の背景や経緯をここまで把握していなかったので興味深く聞いたのですが、設計の手がかりは彫刻の背景ということでしょうか。
河内 基本的にはそうです。外に開く建築のために、明度のグラデーションをつくったということです。
幹也 外と連続的につなげるという目的のために、光を抽出したということでしたね。開口部で、通風と採光を一体とすることはあえて避けたのですか。
河内 防火戸にする必要があったのですが、既製サッシの高さは2.4mまででした。開口部はできるだけすっきりとさせたかったので、中桟は入れずにFIX窓としました。ただ室内の通気は十分にとれるよう、収納の中の高い位置に換気窓を設けています。


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