特集/座談会+ケーススタディ

ディテールとコストと時間

新関 汗をかくということでは、ディテールについてはどうですか。やはり数多く検討されるのでしょうか。
久明 ディテールの場合は数多くというよりも、考え方を見つけることを重視します。ディテールの考え方には2種類あると思います。最初からディテールにアプローチする方法と、後からアプローチする方法です。前者は、骨格を成り立たせるものや建設プロセスから、またコスト面からアプローチします。後者は、使いやすさや触ってどうかということからアプローチします。言い換えれば、どのレベルの視点から見て考えるかということです。鳥瞰的な視点と、皮膚感覚の視点ということですが、対象を見る距離が変わるということで、私たちはその両方を行ったり来たりして進めていきます。
新関 やはり、コストコントロールがすごく大変そうですよね。
久明 ただ、建物の大きさとコストを出すのに時間をかけていますから、大きくはずすことはありません。面積やボリュームを出して仕様を決め、地下は1.4倍、吹抜けは0.5倍など、それぞれに対応する独自の面積指標と坪単価をかけて算出しています。
直子 プランを描かなくても、数字で丁寧に分析していけば、それらの数字が言葉のように語りだします。
久明 全体予算のコスト管理、要望の整理、プログラムと面積をどう描くかが私たちの仕事。そこまでで8割方は終わりで、ここが見えてくると後はだいたいのってきます。
新関 コストと同時に、時間もかかりますよね。形を変えるとなると、再度発注して手間と時間がかかってきます。施工業者は対応できるのでしょうか。
久明 もちろん、施工会社の経験や態勢、能力によります。大きな建物を手がける大手ゼネコンではサイドステップを踏みながら変更に応えていくことができますが、住宅規模では時間が延びるリスクが大きい。本当は事前に決めておきたいことですけれどね。
直子 時間の制限がとりわけ厳しい場合は、工期を短縮するために工法から考えています。
久明 工法を工夫し、設計から竣工までが7カ月というごく短い期間の案件もあります[「打越の家」(05)]。


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