隈 研吾 展
2009 10.15-2009 12.19
English

常に進化し続ける建築家、隈 研吾が目指す、「有機的」とは何なのか?最新プロジェクト「ブザンソン芸術文化センター」、「グラナダ・パフォーミングアーツ・センター」の巨大模型、出現。 抽象的なものから抜け出して、有機的なものへと向かいたいと考えている。
有機的なものは、単なる自然とも自然素材とも違う。有機体は生命体に固有の「生成」のダイナミズムを有していなければならない。ある単位(遺伝子)がいかにして環境と闘いながら(あるいは正確にいえば環境に“負けながら”)生きられる全体を生成するかの驚くべき過程を、徹底的にスタディし、有機体にたどり着こうと我われは試みている。
具体的にいえばそれぞれのプロジェクトにおいて、ある固有な物質が発見され、その物質が様々な悪戦苦闘、紆余曲折を経て、ある全体を生成していくプロセス、その旅のようなシークエンスに、無性に惹かれるのである。ここでいう「ある全体」は必ずしも建築である必要はなく、家具や小物のままとどまることもあるし、建築を通り越して都市になってしまうこともある。あるいは建築のように立ち上がらずに、地べたに這いつくばったままであることもよくあって、それは生命体がその棲む環境に応じて様々な姿をとり、様々な仕方で生活、生存しているのと全く同じである。
どんな全体でも我われは一向に構わないわけで、各プロジェクトにおいて毎回違った形で現されるその様々な有機体に対し、その都度驚かされたり、驚くだけではなく愛しいと思ったり、なでてみたくなったりもするのである。有機体とはそれほどに、それぞれにユニークで愛らしい存在なのである。

隈 研吾

隈 研吾氏はポストモダンが衰退しバブルが崩壊した1990年代、オブジェクトとしての建築に疑問を呈し、「建築の消去」を自身の建築テーマに掲げ、その思考を「ルーバー」や「孔」といった建築的手法に変換して設計活動を展開してきました。2000年代に入り、活動の場が海外にも広がると、「見せる/消す」という二項対立では説明できない、より複雑な関係性をもった魅力的な建築を数多く提案し続けています。近年では、国内外の大規模コンペで立て続けに最優秀賞を獲得し、今世界で最も活動が注目されている建築家の一人です。

本展では、常に建築的思考を深めながら疾走し続ける隈 研吾氏の現在の活動を、「Studies in Organic」と題し紹介します。
会場には、多数のスタディ模型やサンプルを展示し、常に複数のプロジェクトが影響し合いながら同時進行している隈氏の設計現場をドキュメントします。また中庭には、MoMAに出展した実験的な構造システム「ウォーター・ブランチ」による未来の仮設住宅を1分の1で組み立て、さらに、現在進行中の2つのプロジェクト、「ブザンソン芸術文化センター」[ブザンソン、フランス、2011年竣工予定]と「グラナダ・パフォーミングアーツ・センター」[グラナダ、スペイン、2013年竣工予定]を25分の1(予定)の大型模型で展示し、様々なスケールの展示物を通して隈建築の現在形を読み解くことができる会場構成としています。

特別協力
株式会社大林組
鹿島建設株式会社
清水建設株式会社
大成建設株式会社
株式会社竹中工務店
デュポン ジャパン グループ

■開催時間
11:00−18:00
金曜日は19:00まで
■休館日
日曜・月曜・祝日
11月1日(日)、2日(月)、3日(火・祝)は開館
■入場無料



カヴァ・マーケット・プロジェクト、カヴァ・デイ・ティレーニ、イタリア, 2011年竣工予定、採石場
ナポリ近郊の採石場での
スタディ
カヴァ・マーケット・プロジェクト
カヴァ・デイ・ティレーニ
イタリア, 2011年竣工予定
グラナダ・パフォーミングアーツ・センター、グラナダ、スペイン、2013年竣工予定
グラナダ・パフォーミングアーツ・
センター
グラナダ、スペイン
2013年竣工予定
ウォーター・ブランチ、2007年-
ウォーター・ブランチ
2007年-
下関市川棚温泉交流センター、山口県、2009年竣工予定
下関市川棚温泉交流センター
山口県、2009年竣工予定
浅草文化観光センター、東京都、2011年竣工予定
浅草文化観光センター
東京都、2011年竣工予定
ブザンソン芸術文化センター、ブザンソン、フランス、2011年竣工予定
ブザンソン芸術文化センター
ブザンソン、フランス
2011年竣工予定
Back to Top
GALLERY・MA TOTO出版 ご利用条件 COM-ET TOTO
COPYRIGHT (C) 2009 TOTO LTD. ALL RIGHTS RESERVED.