講演会レポート |
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レポーター:磯 達雄 |
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3人目のKDa
ステージには、アストリッド・クラインとマーク・ダイサムのほかにもうひとり、久山幸成さんが登場した。彼はクライン・ダイサム・アーキテクツ(KDa)の、初期からのメンバーである。登場の理由は、二人の日本語能力に問題があるからではない。クラインとダイサムは、漫才コンビでいえばどちらもボケ役をやりたがる。やはりツッコミが必要ということで、久山さんがその役を任されたわけだ。それは見事に功を奏して、軽妙な掛け合いの途中に、絶妙なタイミングで注釈と「なんでやねん」が入る(関西弁ではなかったけど)。 建築家の講演会とはとても思えないようなリズムと間合い。このへんは、彼らが始めて、今や世界的に広まったイベント=ぺちゃくちゃないと(註1)の経験を踏まえてのものなのだろう。講演会の内容を文章に書き起こしても、この楽しさは伝わらないだろうな(ご愁傷様)。
20というマジックナンバー
この日の進行は、展覧会のタイトルにもなっている「20」に即して、20個のキーワードを示し、それぞれに関連させて自作を語るという形式が採られた。「20」という数字は、クラインとダイサムが日本で活動を始めて20年目に当たることから選ばれたものだが、日本では20歳で成人になったり、伊勢神宮の式年造営が20年ごとだったりと、この数字はある種のマジック・ナンバーなのだという。 そういえばかつてチャールズ&レイ・イームズは「10の力」(註2)と言った。クライン&ダイサムは、その2倍の力ということか。いや、それは冗談としても、建築に留まらず家具やイベントなど、幅広い分野でデザイナーとして活躍しているところ、KDaとイームズ夫妻は似ているといえなくはない。コレクター気質があるところも共通している(ダイサムはお菓子のキットカットの空き箱収集家なのだ)。もっとも、クラインとダイサムは夫婦ではないのだけれども。
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講演会風景 |
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ぺちゃくちゃないと ©Jan Chipchase |
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