Architecture of Alvaro Siza Public and Private Architecture in Different Contexts
2007 6.2-2007 7.28
English

この展示はギャラリー・間の3つの空間で行われる。

1)第1展示室(中庭および屋内空間)

1a) 中庭:既存の岩を囲む、木、石、鉄、合板、ブロックという異なる建築材料によって構成されるインスタレーション

1b) 屋内空間:スケッチの置かれたテーブル
模型を乗せたテーブルと、壁に貼られた建築図面

2) 第2展示室

スケッチの貼られた折りたたみ式の合板パネル、模型テーブル、壁に貼られた建築図面、プロジェクションエリア

3)展示パネルとテーブルは、建築的プロムナードを構成する


アルヴァロ・シザ


アルヴァロ・シザ氏は、ポルトガルのポルトを拠点に半世紀以上も活動を続ける建築家です。モダニズムを超えて普遍的な美しさや静謐さを感じさせる空間は世界中から高い評価を受け、プリツカー賞や高松宮殿下記念世界文化賞など、数々の賞を受賞してきました。1950年代に生誕地マトジィニョスから始まった設計活動は、オランダ、スペイン、ブラジルや韓国など、今や世界各地に広がっています。

氏の設計は何十枚と描くスケッチから始まります。設計をする上での重要な姿勢の一つは状況の変化にセンシティブに対応できることである、と述べる氏は、敷地を訪れては市販のノートや図面、紙ナプキンにまで建物の全体像や内部空間、ディテールのイメージを描いて設計を進めます。その建築は、土地との深い関係性をもつ配置計画や材料の選択がなされ、その場の一部であったかのように新旧の融合をはたし、真っ白い壁や天井に囲まれた寡黙な空間に丸や三角、四角の窓から光が注がれ詩的な場がつくられます。

展覧会では異なる’Context’(コンテクスト)と’Nature of Work’(仕事の性質、内容)をもつ7つの作品を取り上げて設計のアプローチを示すとともに、それぞれにかたちづくられる氏の空間の質を紹介いたします。代表作として知られる「サンタ・マリア教会」(1990-2006)や「リスボン万博ポルトガル館」(1995-98)、構造家や若手建築家とのコラボレート作品「サーペンタイン・パヴィリオン」(2004-05)の他、最新の大規模プロジェクト「ポルト・アレグレの文化センターとホール」(1998-)、アジアで進行中の「韓国ミメシス美術館」(2005-)などの日本では未発表の作品も含みます。

会場では、シザ氏自身のデザインによるテーブルと展示パネルが緻密に計算された構成によって配置され、大量のスケッチ、模型と図面によって各々の作品を紹介します。紙の上を流れるように走るペン画によるスケッチは、時に対象とする建築から離れて人物や天使、馬などが描き込まれ、氏が何を見て、何をイメージしているのかを伝える創造の源泉を示すものです。中庭には、氏の素材に対する関心を象徴した木、石、鉄、合板、ブロックという異なる建築材料のコンポジションによるインスタレーションを展示します。

また、新たに収録したインタビューとポルトガルとスペインに建つ初期から現在までの代表作を紹介する映像によって、確固たる信念をもつ氏とその建築の魅力をお伝えいたします。

アルヴァロ・シザの建築
レサのスイミング・プール 1961〜66年
初期代表作のひとつで、シザの生誕地マトジィニョスにつくられた屋外プール。
連なる岩だなから生えてきたようなプールは、大西洋と静かに対峙する。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
ポルト大学建築学部棟
1986〜93/1999年
シザも教鞭を執っていたポルト大学の建築学部校舎。
自身が住む街に設計した初の公共建築であり、80年代のシザの代表作の一つ。
写真は、図書館の内部空間。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
ガリシア現代美術センター 1988〜93年
キリスト教の聖地、サンティアゴ・デ・コンポステラに建てられた現代美術館。
修道院が建つ公園内に地域全体を再構成するべく位置づけられた。公園の設計もシザによる。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
サンタ・マリア教会と教区センター
1990〜2006年
ポルトから電車で1時間ほどの地に建てられた教会。
シンメトリーにつくられたエントランスの大扉を抜けると、内部は対照的にアンシンメトリーな空間構成となっている。
湾曲した壁に穿たれた深い窓から降り注ぐ光と、対向する壁に開けられた横長の水平窓が空間にリズムを与える。
2006年に付帯施設が竣工した。

スケッチ=アルヴァロ・シザ



写真=ギャラリー・間
Expo'98 ポルトガル・パヴィリオン
1995〜98年
1998年に開催されたリスボン万博のポルトガル・パヴィリオン。
二つの棟に渡された巨大なケーブル・ルーフに誰もが圧倒される。
構造はセシル・バルモンド。
第1回リスボン建築トリエンナーレ2007のメイン会場になっている。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
ポルト現代美術館 1991〜99年
ポルトに建てられた国立の現代美術館。
アールデコの住宅が建つ緑豊かな敷地の中に設計された。真っ白な壁と2枚仕立ての天井スリットからこぼれる間接光によって、シザ独特の静謐な空間が生まれている。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
サンディエゴ大学情報科学学部
1993〜2000年
図書館を中心にギャラリー、教室、オーディトリアムなどの各室が東西に走る長いスロープによってつなげられた大学キャンパス。
長さ127mの校舎に設けられた諸室は、どの部屋も十分な光を感じることができる開放的な空間となっている。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
コルネラ・デ・ロブレガットのスポーツ・コンプレックス
2000〜06年
バルセロナ近郊に建てられた近作の一つで、屋内外プールと体育館が設けられた会員制のスポーツ施設である。
屋内円形プールは奥行きのある丸い天窓で覆われ、水面を移動する光の水玉模様と外周を巡るスロープが空間に躍動感を与えている。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
ボウサの集合住宅
1973〜77年/1999〜2006年
ポルト中心に建つ集合住宅。第1棟が建てられた際は低所得者層向けの集合住宅であったが、第4棟まで完成した現在はローコストながら質の高いデザインが周辺に活気を与え、多くの人々をむかえる場として街に息づいている。

スケッチ=アルヴァロ・シザ

写真=ギャラリー・間
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