事務所をかまえてちょうど10年が過ぎ、展覧会をすることになりました。
この10年間に私が考えたこと、また現在考えつつあることは、すべて実際に建物の設計をしている間に出てきたものです。設計する前から知っているような考えや、設計する前に思いつくようなアイデアは、私にとってほとんど価値がありません。20世紀の第3〜第4半期の日本のように、他のどの地域よりも大量に建物を建て、大量に壊した集団は、現在の隣国(中国)を除けば今のところ類例がないでしょう。その建設と破壊を、本当の意味で無意味なものに終わらせないためには、実際に建てなければ思いつかなかったような認識と、作品を、誰でもわかるようなかたちで、提示する必要があります。
21世紀の直前まで建設と破壊を繰り返した場所の建築家として、実務をやらない限り出てこなかったアイデアを一冊の作品集にまとめて、展覧会をすることにしました。
|