TOTO
©Masumi Kawamura
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TOTOギャラリー・間休館中の土曜・日曜
スタッフおススメ
  • 常設展へ行こう!
    『常設展へ行こう!』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    著者=奥野武範
    発行=左右社
    「常設展へ行こう!」その名の通り見過ごされがちな常設展にクローズアップした本書。企画展の醍醐味はもちろんあるけれど、それだけで帰ってはもったいない!東京国立博物館、東京国立近代美術館など、全国12のミュージアムの所蔵作品、収集の哲学などを各館の学芸員さんがたっぷりと紹介しています。モネから直接購入した《睡蓮》がある国立西洋美術館や彫刻家フランソワ・ポンポンの作品が国内最多の群馬県立館林美術館などなど、興味深い話で満載。常設展はおもしろい!と気付かされた一冊。(OA)
  • 収納され続ける収納 生活者のデザイン史
    『収納され続ける収納 生活者のデザイン史』
    定価2,090円
    (本体1,900円+税10%)
    著者=北田聖子
    発行=雷鳥社
    日々の生活の中であたりまえに行っている行為「収納」。本書は住まいにおける「収納」という言葉がどのように語られてきたかをテーマに収納の歴史を紐解いていきます。収納の意味や文脈などを雑誌や書籍を取り上げ、時代ごとの変化についてデザイン史を教える著者ならではの視点で綴られていきます。物を飾ったり、しまったり、収納用品を自ら作り出したりと日々の生活をどのようにデザインしてきたかを探る1冊です。(SA)
  • 鬱の本
    『鬱の本』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    編集=屋良朝哉/小室有矢/今関綾佳
    発行=点滅社
    自身の鬱の体験と、鬱に寄り添ってくれた本について84名が語る本書。一遍が短く淡々とまとめられているので、気分が優れない時も手に取りやすく、疲れたら途中で止めても良い、さり気ない配慮が感じられます。『一瞬だけ動悸が鎮まるような、まるでベンゾジアゼピンのような、そんな効果は確かにある。』と本文にあるように、押し付けず、静かに支えとなってくれるような本が世の中にはたくさんあり、その本を作った人もまた本に支えられているのだと希望を感じました。装丁も可愛らしく視界に入るだけでちょっと和む、そんな一冊です。(HA)
  • 366日の東京アートめぐり
    『 366日の東京アートめぐり』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者=著者=安原 もゆる
    発行=三才ブックス
    東京のアートスポット366ヶ所を1日1ページで「日めくりカレンダー」形式に紹介している本書。国立近代美術館のような公立美術館から大学や企業の博物館、私立美術館、作家の個人美術館、小規模ギャラリーさらにパブリックアートやスターバックスまで、ありとあらゆるアートスポットをピックアップ。欄外のコラムで著者おすすめの「あわせて立ち寄りたい!」場所が掲載されているので、出かけたついでに欲張って訪れてみたいです。東京には思った以上にアートが身近にそしてたくさんあるのだと気付かせられた一冊。  (OA)
  • にがにが日記
    『にがにが日記』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者=岸政彦
    発行=新潮社
    生活史研究で知られる著者のウェブマガジンに連載された7年分の日記をまとめた本書。パートナーであるおさいさんと猫のおはぎときなこたちとの日常は読みながらおもわずうなづいてしまったり、時折入る著者のボヤキにクスッと笑ったりと、親しみのある筆致で綴られています。書き下ろしの「おはぎ日記」は愛猫・おはぎの介護の日々と最期が綴られています。日々の生活の積み重ねにある切なくて可笑しくて、時々ある喪失の気持ちに寄り添う一冊です。(SA)
  • インドの台所
    『インドの台所』
    定価2,970円
    (本体2,700円+税10%)
    著者=小林真樹
    発行=作品社
    インド中の様々な家庭の台所を覗き、その調理現場を紹介してくれる本書。東西南北、大富豪から路上生活者など多種多様な台所を見ていくうちに、ある共通するインド像が浮かんでくると著者は言います。宴席料理ワーズワーンや、世界最大のスラム街に暮らす家族のもてなしなど、観光するだけでは体験できないような場面がもりだくさんで、読み終えるとまさにディープな旅をしてきた感覚に陥ります。(HA)
  • 『作家の家』
    『作家の家』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    編=コロナ・ブックス編集者
    発行=平凡社
    作家にとって自宅とはどのような場所だろうか。小説家、画家、建築家、文学者、デザイナーなど、さまざまな「作家」が暮らした住まいの貴重な写真と言葉を収めた一冊。立原道造さんの《ヒヤシンスハウス》、清家清さんの《私の家》など、15人の作家の家が紹介されています。ここに紹介されているお宅は制作の場と生活の場を兼ね、作家の人となりが感じられる個性的な邸宅ばかり。一度はこんな家に住んでみたい!と思いました。巻末に実測図面集つき。(OA)
  • 庭のかたちが生まれるとき
    『庭のかたちが生まれるとき』
    定価2,860円
    (本体2,600円+税10%)
    著者=山内朋樹
    発行=フィルムアート社
    庭師であり美学研究者でもある著者が京都にあるお寺の作庭現場に密着し、庭づくりのプロセスを綴った本書。驚くのが本書に登場する作庭工事には設計図はなく現場を指揮する一人の庭師とその他の作業員の庭師の共同作業の中で生み出されていることです。作庭の中で生まれる人と人、ものとものとのやりとりは分野を問わず日々ものづくりに携わる人に一読してもらいたい一冊です。(SA)
  • 『驚嘆!セルフビルド建築 沢田マンションの冒険』
    『驚嘆!セルフビルド建築 沢田マンションの冒険』
    定価1,320円
    (本体1,200円+税10%)
    著者=加賀谷哲郎
    発行=筑摩書房
    高知に建つ巨大セルフビルド建築、沢田マンション。当時大学院生だった著者が常識外れな建物とそれを建てたパワフルな夫婦に惹かれ、1年かけて調査したものをまとめた本書。夫婦二人で手作りした巨大建築ということはもちろん、壁のないエレベーターや車で上階まで行けるようにと元々の住戸を壊して通したスロープなど、滅茶苦茶に思える発想と行動力に驚かされます。現在となっては違法建築ですが、家族や住人たちと暮らしながらやりたい放題進化させたマンションには夢と工夫が詰まっていて、実際に行って自分の目で確かめてみたくなりました。(HA)
  • HAND BOOK
    『HAND BOOK』
    定価4,180円
    (本体3,800円+税10%)
    著者=大原大次郎
    発行=グラフィック社
    手書き文字やアナログ手法を駆使したデザインで知られるグラフィックデザイナー・大原大次郎さん初の作品集。出版と同時期に開催されたギンザ・グラフィック・ギャラリーでの個展では、20年間で制作されたデザインの数々を原画やスケッチとともに惜しみなく展示していて、手を動かしてものをつくる醍醐味がぎゅうぎゅうに詰まった展覧会になっていました。本書はその原画やスケッチを余すことなく収録しており、何度でも開いて眺めたくなる一冊。(OA)
  • くうきをつくる
    『くうきをつくる』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者=青木淳
    発行=王国社
    建築家の青木淳さんが設計に携わった京都市京セラ美術館のリニューアル工事ではそこに流れる「くうき」を調整したという。モノやカタチではなく「くうきをつくる」とは一体どういうことなのか。その他、磯崎アトリエ勤務時代のこと、街や建築、映画・本・展覧会の批評と内容は幅広いものの、すべてがタイトルの「くうき」に通じていて、一貫したテーマで読み通すことができました。文章は平素で読みやすく大変奥深い建築論集です(KM)
  • 図説 付属屋と小屋の建築誌
    『図説 付属屋と小屋の建築誌』
    定価3,080円
    (本体2,800円+税10%)
    編著=大場 修
    発行=鹿島出版会
    主屋の研究だけではなかなか触れられなかった作業小屋や蔵など、普段住まいはしないが生活と密に寄り添う「付属屋」にスポットをあて、日本各地に現存する「付属屋」を収集した本書。主屋は木造軸組みが主であるのに対し、付属屋は石造、土蔵、石屋根木造、木骨石造など構法も多種多彩なことが豊富な図版と解説とともに紹介されています。付属屋が主屋以上に地域独自の生活のかたちをより濃く反映し、地域の景観形成にも大きな影響を与えていることに気がつきました。(AS)
  • フードスケープ  図解 食がつくる建築と風景
    『フードスケープ  図解 食がつくる建築と風景』
    定価3,300円
    (本体3,000円+税10%)
    著者=正田智樹
    発行=学芸出版社
    イタリアと日本、16の食の生産現場を調査して図解し、食が作る建築と風景をフードスケープと呼びまとめた本書。自然の力で生産されるワインや日本酒蔵の仕掛け、風と太陽光を効率的に受けるよう作られたパーゴラに生るレモンなど、自然が織りなす風景は不思議でなるほどと思わせるものばかり。イタリアと日本の地形や資源、文化による違いも興味深く、スローフードやエコロジーについても考えさせられ眺めているだけでも楽しい一冊です。(KM)
  • 天気でよみとく名画-フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ
    『天気でよみとく名画-フェルメールのち浮世絵、ときどきマンガ』
    定価1,100円
    (本体1,000円+税10%)
    著者=長谷部愛
    発行=中央公論新社
    モネ、ターナー、レンブラントなどオランダ、イギリス、フランスの西洋絵画の名画や歌川広重、葛飾北斎の浮世絵に描かれた「風景」に着目し、天気×美術の視点から絵画をよみとく本書。フェルメールの描いた「雲」から降水確率や季節、当時の気候を気象学的に解説。「鬼滅の刃」などマンガ・アニメに登場する技の名前まで説明しているところが面白いです。気象予報士の長谷部愛さんによる絵画の新しい楽しみ方を提案した面白い一冊。(OS)
  • レシート探訪
    『レシート探訪』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=藤沢あかり
    発行=技術評論社
    様々な人にレシートを見せてもらいながらそこに隠れた話を聞いていくエッセイ。お店の名前と日付、品名、金額が書かれた一枚の紙きれの中から見えてくるのは、世界的パンデミックで非日常的な毎日を過ごす中でもこつこつと暮らすそれぞれの日常でした。日々の記録でもあるレシートから毎日の食卓に欠かせないもの、趣味のもの、家族のもの、ご褒美など、ささやかだけど豊かな日常が垣間見えてきて、ほっこりした気持ちになると同時に自分と同じだなと力をもらえました.(KM)
  • 『建築思想図鑑』
    『建築思想図鑑』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    編著=松田達、横手義洋、林要次、川勝真一
    発行=学芸出版社
    建築を学ぶ上ででてくる『建築思想』。各思想を構成する様々な概念やキーワードを紀元前1世紀から現代までの内容を1冊にまとめた本書。各キーワードは3~4ページ単位で簡潔な説明とイラストレーターの寺田晶子さんによるイラストで紹介されています。章立ても近代以前、近代、現代の時系列順で構成されていて、巻頭にある年表と見比べながら読み進めることで、時代ごとの思想が理解しやすくなっています。目次から調べたい思想を探すという辞書的な読み方もおすすめです!建築を学ぶ上で一助となる1冊です。(SA)
  • 世田谷イチ古い洋館の家主になる①
    『世田谷イチ古い洋館の家主になる①』
    定価968円
    (本体880円+税10%)
    著者=山下和美
    発行=集英社 グランドジャンプ愛蔵版コミックス
    解体が決まっていた東京都世田谷区豪徳寺にある洋館に一目ぼれした漫画家の山下和美さんが中心となり発足した「旧尾崎邸保存プロジェクト」。その激動の顛末を収めたコミックスです。購入するには資金が無い、移築するには時間が無い中、区や都を巻き込みさらにアメリカでも話題になったことでなんとか取り壊しを免れるまではまさに手に汗握る展開。改修された洋館は135年を経て2024年3月にギャラリー&喫茶室に生まれ変わりました。3巻完結。(KM)
  • 美大の先生と巡る世界と地球の建築
    『美大の先生と巡る世界と地球の建築』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者=岸本章
    発行=彰国社
    美大の先生である著者・岸本章さんが、世界各地の集落や民家など実際に訪れた歴史的建造物、国や様式も違う様々な名建築を取り上げて、デザインという視点から読み解く本書。世界遺産などの歴史的な建物も人々が試行錯誤の末つくりあげたもので、悩み抜いた結果のデザインであることに気付かされます。世界中の名建築が岸本先生のフランクで面白い解説を通して身近なものに感じられてくる一冊。(OA)
  • 越えていく人 南米、日系の若者たちをたずねて
    『越えていく人 南米、日系の若者たちをたずねて』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    者=神里雄大
    発行=亜紀書房
    著者は沖縄からペルーへ移住した先祖を持ち、首都リマで生まれ、日本で育った背景をもつ演出家。本書は著者自身のルーツであるペルーについて「語ることがほとんどない」と意識したのを機に南米5カ国へ旅した記録集。旅先では日本人移民地を訪れ、日本移民の足跡とその子孫たちを訪ねていきます。各国での暮らしぶりは現地の文化と日本の文化が混ざり合い、「日本人/日系人」とひとくくりにできない多様化した社会がみえて来ます。演出家の著者ならではの文体で描かれる、移民新世代のリアルが見える1冊です。(SA)
  • 空気感(アトモスフェア)
    『空気感(アトモスフェア)』
    定価3,740円
    (本体3,400円+税10%)
    著者=ペーター・ツムトア
    訳=鈴木仁子
    発行=みすず書房
    「建築の質とは、私にとっては、建物が心に触れるということ、それだけに尽きます。」
    建築家ペーター・ツムトア(ピーター・ズント―)による2003年の講演録。すぐれた質の建築とは何だろうかという問いに対して、取っ掛かりになるのが人間の情緒的な感覚にうったえる「場の空気・雰囲気」だとし、それを作り出すための「素材」「親密さ」「光」等の観点を平易な言葉で論じます。理解を深めるための豊富な図版も収録され、建築家の思考と美学が込められた一冊。こだわりのブックデザインは葛西薫。(KM)
  • アジアン・コモンズ  いま考える集住のつながりとデザイン
    『アジアン・コモンズ   いま考える集住のつながりとデザイン』
    定価3,740円
    (本体3,400円+税10%)
    著者=篠原聡子
    発行=平凡社
    ソウル、台北、シンガポールなど、アジア主要7都市の集合住宅を紹介・分析した本書。
    前半は各都市の集合住宅の事例紹介から、住人のライフスタイルに合わせて作り出された共有空間についてまとめられています。各都市の居住環境や共有空間の違いが大変興味深いです。後半は建築家である著者と法社会学、文化人類学分野の研究者たちとの対談から各都市の事例について多角的な視点で掘り下げていきます。各都市の居住環境から人が集い、つながる場のデザインを提案する1冊です。(SA)
  • メイド・イン・トーキョー
    『メイド・イン・トーキョー』
    定価2,090円
    (本体1,900円+税10%)
    著者=貝島桃代、黒田潤三、塚本由晴
    発行=鹿島出版会
    本書『メイド・イン・トーキョー』は、2001年に黒田潤三さんとアトリエ・ワンによって出版された、東京の建築ガイドブック。世界的にも面白い都市、東京だからこそ点在するちょっと変な建物に「ダメ建築」と愛称をつけ、ガイドブックという形で70ヶ所を紹介。スーパーの屋上が自動車教習所、駅と一体化している住宅など、他にも面白いダメ建築を多数紹介しています。本書を片手にいつもと違った視点で今の東京を観察してみたいと思う一冊。(OA)
  • 自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話
    『自分のために料理を作る 自炊からはじまる「ケア」の話』
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    著者=山口祐加、星野概念
    発行=晶文社
    自分に「何が食べたい?」と問いかけ、その時食べたいものを「自分で料理して食べる」というご褒美であるはずの「自炊」が、誰かのためには料理を作れるけど自分のためになると「めんどくさい」という気持ちになってしまう。この本では生徒役が料理をしながら対話し気づきを得ていくプロセスを通じて、自分を大切にすることとは何かということを再確認していきます。料理に関して無意識にこうでなければという考え方から解き放たれるきっかけになる本です。(KM)
  • 時代劇聖地巡礼 関西ディープ編
    『時代劇聖地巡礼 関西ディープ編』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者=春日太一
    発行=ミシマ社
    時代劇で映し出される「江戸の景色」の多くは、実は現代の京都を中心とした関西エリアで撮影されていた!本書は時代劇研究家である著者が関西各地に点在する時代劇のロケ地59カ所を巡るガイドブックです。登場するロケ地は有名な観光地から、道端や河原などの一見通り過ぎてしまうような些細な場所まで。現代の風景がいかに江戸の風景として撮影されているのかを著者ならではの視点で紹介されています。 「時代劇のロケ地」という新たな切り口で関西エリアに迫る1冊です。(SA)
  • 建築家・内藤廣 BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い
    『建築家・内藤廣 BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い』
    定価4,290円
    (本体3,900円+税10%)
    著者=内藤廣
    発行=グラフィック社
    日本を代表する建築家・内藤廣さんのキャリアを振り返る展覧会の公式図録。「Built(建設された建物)」「Unbuilt(実現しなかった建物)」「Ongoing(実現予定の建物)」の切り口で、代表作を含む80作品をドローイング・図面・模型等で紹介します。ユニークなのは内藤さんの頭の中を象徴するキャラクター「赤鬼(自己主張が強く情熱的)」と「青鬼(控えめで禁欲的)」が案内役となり、対話を繰り返しながら設計時を振り返り作品を解説していく点。設計時の空気感と建築家の熱い思いがリアルに伝わり引き込まれます。(KM)
  • 私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE
    『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著者=安達 茉莉子
    発行=三輪舎
    本書はイラストレーター、エッセイストとして活動中の安達茉莉子さんが「生活改善運動」について綴ったエッセイ集。自分にとっての幸せを探り、毎日の行動に移していく「生活改善運動」。自分が見て幸せになるものだけを残し、何となくで選んできたことをやめる。例えば日用品のタオル、ゴミ箱、本棚など、いろいろ。安達さんの素敵な人柄が伝わり、読んでいて前向きな気持ちになります。自分も一歩踏み出してみたい気持ちになる一冊。(OA)
  • 本のある空間採集 個人書店・私設図書館・ブックカフェの寸法
    『本のある空間採集 個人書店・私設図書館・ブックカフェの寸法』
    定価2,700円
    (本体2,500円+税10%)
    著者=政木哲也
    発行=学芸出版社
    全国の「本のある空間」を訪ね歩き、実測採集してイラストで紹介した本書。オンラインでほとんどの本が簡単に手に入る今、あえてリアルな空間をつくるオーナーのこだわりが伝わってきます。紹介されているのは平日深夜しか営業しない古本屋や山奥にあってカーナビでは辿り着けないという私設図書館などツワモノぞろいの44の空間。DIYで作ったという本棚や古い和箪笥を転用した棚など、本の周りには面白い空間が広がっていて、わざわざ訪ねたくなる本屋さんが見つかります。(KM)
  • カラー版 パブリックアート入門 タダで観られるけど、タダならぬアートの世界
    『カラー版 パブリックアート入門 タダで観られるけど、タダならぬアートの世界』
    定価1,320円
    (本体1,200円+税10%)
    著者=浦島茂世
    発行=イースト・プレス
    街角にあるブロンズ彫刻やオブジェ…「誰がつくったのか?」「どうしてそこにあるのか?」そんな疑問に答えてくれる本書。渋谷駅の『忠犬ハチ公』や『明日の神話』など全国にある街角アート=パブリックアートの歴史と設置された経緯が紹介されています。中でも横浜の「モクモクワクワクヨコハマヨーヨー」には強いビル風を抑制する役目があるとは知りませんでした。この本を持って改めて街角にあるアートを見に行きたくなる一冊です。(AS)
  • 小屋の本 霧のまち亀岡からみる風景
    『小屋の本 霧のまち亀岡からみる風景』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著者=辰巳雄基、ヤマサキエイスケ、安川雄基・冨吉美穂(合同会社アトリエカフェ)
    発行=一般社団法人きりぶえ
    京都府中西部、晩秋から初春にかけて深い霧が発生し幻想的な風景が見られることで有名な霧のまち亀岡を巡り、300軒以上の農小屋を記録・観察してまとめた本書。農機具を収納するのが目的の農小屋は農家の方々自身が建て、育てているまさに働く小屋。そこには手仕事の美しさ「用の美」が詰まっていて、亀岡の素晴らしい自然風景とも馴染み、とても愛らしく感じます。開いて立てると切妻型の小屋の形になる造本もポイントです。(KM)
  • 人間がいなくなった後の自然
    『人間がいなくなった後の自然』
    定価3,740円
    (本体3,400円+税10%)
    著者=カル・フリン
    訳=木高恵子
    発行=草思社
    戦争、原子炉のメルトダウン、自然災害、砂漠化、毒化、放射能汚染などの理由で人間がいなくなった12の場所を著者が2年の歳月をかけて旅をし、自然の再野生化に迫った本書。著者はウクライナのチェルノブイリや産業衰退とともに荒廃したアメリカのデトロイトなど、人間が足を踏み入れることがない場所になることで自然が回復し、自発的に「再野生化」している様子を自身の眼で確かめていきます。自然の回復・新生の実態に迫り、自然と人間の関係を新たにとらえなおす一冊です。(SA)
  • 素材考: 新素材研究所の試み
    『素材考: 新素材研究所の試み』
    定価4,730円
    (本体4,300円+税10%)
    著者=榊田 倫之
    発行=平凡社
    現代美術作家の杉本博司さんと建築家の榊田倫之さんによって設立された建築事務所「新素材研究所」。なにやら新しい素材を研究するような名前ですが、実は技術革新により淘汰されてきた古い材料や伝統的な職人の技術「旧素材」を考察し未来へつなげていくことに取り組んでいます。本書は、新素材研究所のこれまでのプロジェクトを杉本博司さんの美しい写真とともに解説。屋久杉や大谷石、漆喰など素材の魅力を探究した一冊。(OA)
  • 宮脇 檀 手が考える 
    『宮脇 檀 手が考える』
    定価550円
    (本体500円+税10%)
    著者=宮脇檀建築研究室・宮脇 彩
    発行=NPO法人建築文化継承機構(JIA-KIT建築アーカイヴス)
    制作=建築画報社
    2017年に各地を巡回した展覧会「宮脇 檀 手が考える」にあわせて作られた本冊子。たった27ページの中に、建築家 宮脇檀さんによる魅力的なスケッチやドローイングがふんだんに掲載されています。あわせて、5ページに及ぶ詳細な経歴とご本人による書きかけの草稿、仙田満さん、植田実さん、鈴木恂さんの寄稿を収録。小さな冊子ながら、カッコよくてダンディだったという建築家の生きざまが垣間見えてきます。(KM)
  • ここはおうち
    『ここはおうち』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=谷川俊太郎
    絵=junaida
    発行=ブルーシープ
    詩人・谷川俊太郎さんと画家・junaidaさんの言葉と絵の掛け合いで編み出された絵本『ここはおうち』。主人公の「わたし」はおうちを飛び出しでかけた先はピラミッドがそびえる砂漠、大きな木のツリーハウス、はたまた時空を超え宇宙空間へ。「わたし」は自由に行きたいところへでかけていきます。ページをめくるたびに絵本の中の世界が広がり、「わたし」と一緒に壮大な旅へでかけているような1冊です。物語の終わりに綴られる谷川さんの言葉とjunaidaさんの絵は自分にとって「家」とは何かを改めて考えるきっかけになりました。(SA)
  • 増補版 天下無双の建築学入門
    『増補版 天下無双の建築学入門』
    定価858円
    (本体780円+税10%)
    著者=藤森照信
    発行=筑摩書房
    縄文時代の居住スタイルは竪穴式住居、そこからどのようにして近代的な住居へと変化していったのか。住まいの基本構造、床や天井、窓、壁、台所などの成り立ちを建築史家であり、建築家の藤森照信さんが解説した本書。建築史家の視点とユニークな語り口により、建築に詳しくなくても楽しく読み進めることが出来ます。目からウロコの事実もあり、私たちにとって身近な住居について理解が深められる一冊です。(O.A)
  • オルタナティブ・パブリック
    『オルタナティブ・パブリック』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者=クマタイチ、浜田晶則
    発行=ブートレグ
    建築家である著者が、都市、郊外、農村の新たな価値に対してこれまでになかったような視点を提示している8名の実践者へのインタビューを通じて、これからの公共空間について考えた本書。テクノロジーの進化やパンデミックを経験して公共のかたちが変化しているいま、建築物に頼らず「オルタナティブ・パブリック」を生み出すには。「ポケモンGO」の開発者や、地方から「食」「古材」で人やモノの新しい流れを生み出している実践者との対話は刺激的で読みごたえがあります。(K.M)
  • アジア「窓」紀行
    『アジア「窓」紀行』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=田熊隆樹
    発行=草思社
    建築家である著者が「窓」を視点にアジア・中東を巡った旅行記。上海の窓から生える謎の棒、シェムリ・アップの戸と庇を兼ねた窓、スリバチ状の地形に密集した住宅の窓が特徴的なラルンガル・ゴンパ、イラン・ヤズドでは地下貯水槽につながる塔に設けられた開口部から風を取り入れ水を冷やす工夫など日本では見ることができない、気候風土に対応した魅惑的な窓が写真や建築家である著者のスケッチ、図面とともに綴られている。窓という視点からその土地の人々の暮らしが浮かび上がる一冊。(S.A)
  • ドミトリーともきんす
    『ドミトリーともきんす』
    定価1,320円
    (本体1,200円+税10%)
    著者=高野文子
    発行=中央公論新社
    不思議な学生寮「ともきんす」の2階に住む科学者の卵である寮生さんとの会話を通じて、20世紀に活躍した4名の科学者たち(朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹)の書籍を漫画形式で紹介した読書案内。個性的で魅力あふれる科学者たちがいきいきと描かれていて、科学の本でも難しくなさそう、読んでみたい!と思わせてくれます。(KM)
  • 家が好きな人
    『家が好きな人』
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    著者=井田 千秋
    発行= 実業之日本社
    イラストレーター・井田千秋さんが5人の「おうち時間」をオムニバス形式で描くコミック&イラスト集。朝食のいい香りがしてきそうな台所のササさん、押し入れをベット空間にしたカエさん、映画に登場しそうなお部屋のナナコさん、秘密基地のような書斎のミドリさん、初めての一人暮らしに夢が広がるアキラさん…登場する部屋はそれぞれに個性があり、お気に入りのアイテムたちに囲まれながら暮らす様子が井田さんの優しいタッチで細部まで描き込まれています。本を開くたびに自分にとって居心地がいい空間について思いを巡らす一冊。(SA)
  • Shiroiya Hotel Giving Anew
    『Shiroiya Hotel Giving Anew』
    定価11,000円
    (本体10,000円+税10%)
    著者=藤本壮介、橋本麻里、犬養裕美子、長谷川香苗、白井良邦
    出版社=ADP
    前橋市で300年以上の歴史を誇った老舗旅館の廃業後、地元出身の起業家を中心に再生され2020年に開業した「白井屋ホテル」。70 年代の既存建物の改装、増築を手掛けたのは建築家の藤本壮介さん。国内外のアーティストがコラボレーションしたことでも話題となり、今ではこのホテルに泊まるために海外から前橋を訪れる方もいるようです。その魅力を美しいグラフィックとともに紹介したこだわりの詰まった一冊。アートディレクションとイラストは、「All the Way to Paris」、英語版と日本語小冊子の2冊組です。(KM)
  • 東京「街角」地質学
    『東京「街角」地質学』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著者=西本昌司
    出版社=イースト・プレス
    “街角地質学者”の著者が「石」を通して東京の街の魅力に掘り下げていく本書。東京の発展とともに時代ごとに使用される石材に変化があり、駅や百貨店、高層ビルなどの東京の街並みではお馴染みのスポットに使用されている石材が、豊富な写真と著者による詳細な解説とともに紹介されています。中には商業施設の壁にアンモナイトなどの化石が見れるスポットがあるのに驚きます。この本を携えて東京の街へ石を探しに出掛けたくなる一冊です。(SA)
  • 日本建築集中講義
    『日本建築集中講義』
    定価1,100円
    (本体1,000円+税10%)
    著者=藤森照信、山口晃
    出版社=中央公論新社(中公文庫)
    建築家・藤森照信と画家・山口晃が日本の名建築13か所を巡り、建物の魅力を様々な角度から考察する一冊。法隆寺や国宝の茶室・待庵など、知っているようで知らない日本の名建築を藤森先生のツッコミ解説と山口画伯のボケで軽快に案内が進みます。思わず吹き出してしまうところや深く関心してしまう内容など、専門家の審美眼や視点がとても勉強になります。本書を片手に日本の名建築を訪れてみてはいかがでしょうか。(OA)
  • テッコツ!知られざる鉄骨の世界
    『テッコツ!知られざる鉄骨の世界』
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    著者=杉山忠義
    出版社=幻冬舎
    タワーや高層ビルなど街のランドマークを形作るのに必要不可欠な鉄骨。では鉄骨はどこでどのようにどんな人たちによって作られているのでしょうか。東京スカイツリーの鉄骨を手掛けた鉄骨加工会社、(株)イタガキへの取材を元に、知っているようで知らない鉄骨業界の魅力に迫った一冊。男性が多く働く現場かと思いきや繊細な感覚を必要とする溶接作業では女性も大活躍しているとか。専門知識がなくても最後まで楽しく読めます。(KM)
  • アウト・オブ・民藝 改訂版
    『アウト・オブ・民藝 改訂版』
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    著者=軸原 ヨウスケ、中村 裕太
    出版社=誠光社
    京都の書店、誠光社で開催された同名タイトルの企画を書籍化した本書。こけしや郷土玩具、手芸など民藝の周辺にありながら「その他」として扱われてきたものを中心に対談形式で綴られています。帯裏には本書に登場する民藝に関わりが深い人物たちの相関図が詳細に掲載され、その関係性を読み解いていくと民藝の輪郭が浮かびあがってきます。民藝の過去を知ることでこれからのものづくりについて考える一冊です。(SA)
  • 京大建築 学びの革命
    『京大建築 学びの革命』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者=竹山聖
    出版社=集英社インターナショナル
    若干37歳で母校に着任した若手建築家が学生を少し年の離れた弟妹のように感じながら、学生と共に学ぶという姿勢でさまざまなことにチャレンジした記録。28年間にわたる学生たちとの対話を通した言葉や、事件とその顛末が収められています。竹山研究室はいきいきと生きる個が育つ「庭」のような場所だったと記されています。創造性と可能性に満ちた庭を用意し、時に手を入れて成長を楽しんだ結果、平田晃久氏など第一線で活躍する多くの建築家がここを巣立ちました。(KM)
  • ブックデザイナー・名久井直子が行く印刷・紙もの、工場見学記
    『ブックデザイナー・名久井直子が行く印刷・紙もの、工場見学記』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    編=デザインのひきだし編集部
    出版社=グラフィック社
    ブックデザイナーである名久井直子さんが印刷・加工・紙にまつわる16の工場や製本所へ行く見学記をまとめた本書。紙、インク、製本、流通まで普段なかなか見ることができない機械や職人の技術が、ブックデザイナーならではの視点で綴られています。店頭に並ぶ本の製本方法や使用されたインク、流通過程などを考え出すと止まらなくなる1冊です。(SA)
  • 小さな泊まれる出版社
    『小さな泊まれる出版社』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=川口瞬、來住友美
    出版社=真鶴出版
    神奈川県の小さな港町「真鶴」の土地で "泊まれる出版社”を夫婦で営む「真鶴出版」。本書は、縁もゆかりもない場所でゼロから出版業と宿泊業をスタートさせ、同世代の建築家トミトアーキテクチャや地元の住人、職人さんと協力しながら「小さな町で見つけた未来」を考えた一冊。店ができていく過程や予算、スケジュールなどリアルな情報が掲載されており、地方での仕事づくり、これからの新しい生き方を模索する姿に勇気づけられました。(OA)
  • 沖縄と琉球の建築|Timeless Landscapes 3
    『沖縄と琉球の建築|Timeless Landscapes 3』
    定価4,620円
    (本体4,200円+税10%)
    写真=小川重雄
    解説=青井哲人
    ドローイング=遠藤慧
    出版社=millegraph
    琉球王朝時代の城跡の堅牢な石積み遺構、木々に囲まれた沖縄の伝統的民家の赤い瓦屋根、自然に溶け込むバブル時代に建てられたリゾート建築とその合間にはさまれる圧倒的な自然の美しさ。この写真集には副題の通り、時間の経過によって人々の意志を超え生まれる風景や空間が収められています。ガイドブックには載っていない、沖縄の風土から生まれた人々の営みの痕跡は、経済ばかりが優先された都市の風景を見慣れた目には眩しく映りました。(KM)
  • はじめまして農民美術
    『はじめまして農民美術』
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    監修=宮村真一、小笠原正
    出版社=グラフィック社
    農民美術とは明治末から戦前にかけて活躍した芸術家・山本鼎が農閑期を利用した副業奨励、農民の芸術活動への参加を目的として始めた手工芸術運動。本書では戦前の生産品の中で最も多く作られた木片(こっぱ)人形や木彫人形を中心に、当時作られた時代背景とともに解説されている。素朴で可愛らしい作品の数々は、手仕事のぬくもりが感じられるとともに、当時の人々の生活が作品へ映し出されている。農民美術の魅力に引き込まれる1冊(SA)
  • 種から種へ 命つながるお野菜の一生
    『種から種へ 命つながるお野菜の一生』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著=鈴木純
    出版社=雷鳥社
    私たちが食卓で目にしている野菜はどのように育ち収穫されているのでしょうか。トマトやトウモロコシといった身近な野菜を生き物として観察し、野菜の一生を細かくカメラで追いかけます。種から発芽し、花が咲き実がなって再び種ができるという自然のプロセスを観察していくと、一年中スーパーに並んでいる野菜にもそれぞれ旬があるという当たり前のことを実感し、自然の神秘に感動を覚えました。野菜への見方が変わる楽しい一冊です。(KM)
  • あしたのしごと アジアの実践者と考える、オルタナティブな未来
    『あしたのしごと アジアの実践者と考える、オルタナティブな未来』
    定価1,540円
    (本体1,400円+税10%)
    著=コクヨ ヨコク研究所 
    出版社=コクヨ株式会社
    老舗文具メーカーのコクヨによる研究機関、コクヨ ヨコク研究所が模索する自律協働社会とはなんなのか。本書はベトナム、インド、台湾で「自律」と「協働」の二つが両立する社会を作り出す実践者たちとの対話から、自分たちのありたい社会を描き、その実現への方途を綴っている。3つの事例はこれまでの働き方に問いを投げかけ、地域の風土やアイデンティティを活かしたものに変わり、他者との関わり合いや経験により変化していく柔軟な「自律」と、対話的で舞台のような「協働」のあり方が見えてくる。これからの働き方に新しいヒントを与えてくれる(SA)
  • 中心のある家 建築家・阿部勤 自邸の50年
    『中心のある家 建築家・阿部勤 自邸の50年』
    定価4,400円
    (本体4,000円+税10%)
    著=阿部勤
    写真=藤塚光政
    出版社=学芸出版社
    名作住宅として名高い、建築家の自邸のありのままを写真家の藤塚光政さんが撮りおろした一冊。50年という時代と家族構成の変化を柔軟に受け入れ、手を入れてきた空間は全く古びた印象がありません。住み手である著者による手描きスケッチや文章からはこの家に対する愛情が伝わり、大事に住み続けてきたことが伺えます。やわらかい光が降り注ぐ2階の書斎やこの住宅を有名にしたペニンシュラキッチンには著者お気に入りの物たちがすっかり馴染み、とても居心地がよさそうです。(KM)
  • ゲルハルト・リヒター Drawings 2018-2022 and Elbe1957
    『ゲルハルト・リヒター Drawings 2018-2022 and Elbe1957』
    定価2,530円
    (本体2,300円+税10%)
    著者=ゲルハルト・リヒター、ディーター・シュヴァルツ、清水穣
    訳=リストファー・スティヴンズ、和光環
    出版社=ワコウ・ワークス・オブ・アート
    現代美術の巨匠ゲルハルト・リヒター、日本では16年ぶりの開催となった話題の「ゲルハルト・リヒター展」。こちらの一冊は、六本木のギャラリーで開催されていたリヒターの個展作品集。キャプションや説明が一切無いギャラリーは、作品そのものに対峙、埋没できた貴重な空間でした。作品鑑賞を体現したかのようなシンプルで美しいオススメの作品集です。日本初公開の最初期作品+最新ドローイングを収録。(OA)
  • 弘前れんが倉庫美術館-記憶を継承する建築-
    『弘前れんが倉庫美術館-記憶を継承する建築-』
    定価3,960円
    (本体3,600円+税10%)
    著者=田根剛(Atelier Tsuyoshi Tane Architects)+ 弘前れんが倉庫美術館
    出版社=パイインターナショナル
    かつて酒造工場だった赤煉瓦の倉庫が、2020年に弘前れんが倉庫美術館として生まれ変わりました。建物の改築を手掛けたのは建築家の田根剛さん。弘前の歴史や煉瓦倉庫の変遷、考古学的なリサーチを重ね導き出されたのは、先人が積み上げた100年を未来へと継承する「延築」という考え方。この本には歴史的魅力を残しながら新たな空間が出来上がっていくまでの記録や図面だけでなく、美術館のプログラム構成、空間の使い方など美術館運営に関することも収録。煉瓦倉庫の再生までを追ったドキュメンタリーです。(KM)
  • 歩く江戸の旅人たち
    『歩く江戸の旅人たち』
    定価2,090円
    (本体1,900円+税10%)
    著者=谷釜尋徳
    出版社=晃洋書房
    江戸時代、庶民の間でブームとなったお伊勢参り。距離にして2000㎞以上の徒歩での旅をどのようにして可能にしたのか。各地に残る道中記や外国人の滞在記などの史料から紐解いていく。長距離を歩く中で編み出された「ナンバ」歩きから、長距離歩行の強い味方になった草鞋や杖などの旅で必要な装備の数々。それらを駆使し1日平均34㎞、多い時には70㎞以上の距離を徒歩で移動したいたことに驚く。江戸の人々が現代と同じように各所の名所を巡り、旅を楽しんで様子が想像できる一冊(SA)
  • 人=人生=建築 ユイイツムニの家
    『人=人生=建築 ユイイツムニの家』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者=石井智子
    出版社=トランスビュー
    自然と共に暮らす住宅設計を追求する建築家 石井智子さんによる写真エッセイ。建築家の故・石井修を父に持つ彼女は一番近くで父親の仕事を見つめ、その哲学を受け継いできました。建物が自然と一体化することを目指した父の代表作である自邸「回帰草庵」への思いを紐解きながら、「唯一無二」の家を作るための様々な思いと、人の暮らしのあり方について丁寧な言葉で綴られます。(KM)
  • 本屋という仕事
    『本屋という仕事』
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    編集=三砂 慶明
    出版社= 世界思想社
    コロナ禍で大きく変化した日常の中で本屋という場所に求められるものとは何か。日本各地にある本屋に携わる18人の寄稿や鼎談から、本屋という場所について見つめなおす本書。なぜその土地に本屋をつくったのか、どのような選書や棚づくりをしているのか。今後本屋をどのように継続させていくのか。それぞれが語る「本屋の仕事」から浮かび上がってくる本屋の今とこれからの本屋の姿。本好きの人から普段本屋に馴染みがない人でも本屋という場所が身近に感じる1冊。(SA)
  • 島田陽 住宅
    『島田陽 住宅』
    定価4,180円
    (本体3,800円+税10%)
    著者=島田陽
    出版社= エーディーエー・エディタ・トーキョー
    関西を拠点に活動する建築家 島田陽さんの住宅をまとめた待望の作品集。数々の賞を受賞した「六甲の住居」から「少路の住居」までの22作品が、豊富な写真・図面と本人による作品解説で紹介されています。木製建具や照明器具、水洗金具などの細部までデザインされているのも魅力的。島田さんの作品の特徴でもある家型のかたちや複層化する床はどのような発想で設計されているのか。巻末にはその思考を辿るインタビューも掲載。(KM)
  • 線と管をつながない 好文×全作の小屋づくり
    『線と管をつながない 好文×全作の小屋づくり』
    定価2,530円
    (本体2,300円+税10%)
    著者=中村好文、吉田全作
    出版社=PHP研究所
    電線、水道管、下水管、ガス管というライフラインに頼らず、暮らしを成り立たせるためのシステムとは。「小屋好き」を自認する建築家の中村好文さんが、牧場主でチーズ農家でもある吉田全作さんの依頼で共につくり上げた、エネルギーを作り循環させる自給自足の小屋のヒミツを一挙公開。巻末の対談からは電気も水も無い不便な暮らしをいかに愉しむかという思いが伝わってきます。災害の多い日本に暮らす私たちの生活へのヒントが詰まった一冊。(KM)
  • 世界裁判放浪記
    『世界裁判放浪記』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=原口侑子
    出版社=コトニ社
    グルメや建築などがテーマの放浪記が多くある中で、本書は元弁護士である著者が世界の各国々の裁判所をめぐり、実際に法廷に入り、裁判を傍聴をする世界放浪記。日本の法曹関連で働いてきた著者ならではの視点で綴られる各国の「裁判所」は人を裁くという機能は同じでも、各国それぞれの裁判の形式、裁判官の姿や傍聴の際のルールまで違っている。それまで当たり前だと思っていたことに新たな視点を投げかける1冊。(SA)
  • 366日 世界の名建築
    『366日 世界の名建築』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    監修=磯 達雄
    出版社=三才ブックス
    世界には様々な建築があります。古代から伝わる歴史ある建築、誰もが知っている有名建築、建築家の奇想が爆発している建築、アッと驚く現代のすごい建築などを366件集め、1月1日から12月31日まで、1日1ページにまとめた本がこちらです。興味があるところから読んでもいいし、索引から逆引きも可能。1日1件ずつ読んでいけば1年で建築の教養が身につきます。面白くてためになる1日5分の世界旅行に出掛けてみませんか!(KM)
  • 毛布 あなたをくるんでくれるもの
    『毛布 あなたをくるんでくれるもの』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=安達茉莉子
    出版社=玄光社
    言葉と絵による創作活動を行う作家・安達茉莉子が綴る初のエッセイ集。著者が日々体験したことや、創作活動への思いなどがかわいいくまの挿絵とともに綴られいく。自分自身について考える時やふと立ち止まってしまった時に、創作活動を通し著者が出会った言葉や記憶がまるで暖かな毛布のようにつつみこんでくれる。(SA)
  • “複雑なタイトルをここに”
    『“複雑なタイトルをここに”』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=ヴァージル・アブロー
    訳=倉田佳子、ダニエル・ゴンザレス
    出版社=アダチプレス
    2021年に41歳という若さでこの世を去ったファッションデザイナーのヴァージル・アブローがハーバード大学デザイン大学院で行った特別講義の記録。自身のブランドOff-White c/o Virgil Ablohを率いながら、ルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターへと駆け上がった彼独自のデザイン言語とは。ナイキ、IKEAとのコラボレーションの裏話や学生の頃に自分が知っていたらという考え方の近道、建築的思考を別の領域に応用せよという建築学科出身らしいアドバイスも。クリエイティブに関わる方は必見です。(KM)
  • クリティカル・ワード 現代建築 社会を映し出す建築の100年史
    『クリティカル・ワード 現代建築 社会を映し出す建築の100年史』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    編著=山崎泰寛・本橋仁
    著=勝原基貴・熊谷亮平・吉江俊
    出版社=フィルムアート社
    1920年代から2010年代までの100年に起きた建築にまつわる出来事を厳選し、各時代の建築を理解するための重要なキーワードを解説したキーワード集。都市、技術、政治、文化、メディアという5つの分野の専門家である著者が235に渡るキーワードを選定。キーワードは建築だけでなく人文や社会、芸術などにも及ぶため、幅広い知識を得ることができます。重要用語から読み解く[クリティカル・ワード]シリーズは他にも文学、メディア、ファッションなどがあります。(KM)
  • フィールド言語学者、巣ごもる。
    『フィールド言語学者、巣ごもる。』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著=吉岡乾
    出版社=創元社
    コロナ禍のため現地に赴けずフィールドワーク調査ができない言語学者が、巣ごもり生活の中で綴られた言語に関する20篇のエッセイ集。日常会話から漫画やYou Tube、近所の猫など、身近にあるものを調査対象として親しみやすく言語学の入口へ案内してくれる。読みすすめるうちに聞き馴染みのない奇妙な表現に遭遇し、その言葉を調べ始めてしまう。探究心をくすぐられる一冊(SA)
  • メタアーキテクト──次世代のための建築(現代建築家コンセプト・シリーズ II-1)
    『メタアーキテクト──次世代のための建築』(現代建築家コンセプト・シリーズ II-1)
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者=秋吉浩気(VUILD)
    出版社=スペルプラーツ
    大人気の「現代建築家コンセプト・シリーズ」(旧・LIXIL出版)が出版社を変え、第2期として再始動。シリーズ通算30冊目にあたる今回は、デジタルテクノロジーによって建築産業の変革を目指す設計集団「VUILD」のCEO秋吉浩気による初の単著。建築家であり起業家でもある著者は、不確実で変化が不可避な時代を生き抜くには、流れに身を任せ、変わり続けることが重要であると説く。次世代のための、社会を変えるヒントがつまった1冊。(KM)
  • 現代建築宣言文集[1960-2020]
    『現代建築宣言文集[1960-2020]』
    定価3,300円
    (本体3,000円+税10%)
    編=五十嵐太郎+菊地尊也
    出版社=彰国社
    1960年の「メタボリズム」から2020年の磯崎新によるザハ・ハディド追悼文「ザハ、無念」まで、建築家や批評家による、現代建築の概念を揺るがしてきた50の言説が再録されたアンソロジー。
    それぞれの言説には解説も加えられ、理解をより深めることができます。偉大な先人たちの言葉は、時を経たいま読んでも瑞々しく、ダイナミック。また、時系列に並んでいるので、約半世紀に渡る近現代史の流れも掴むことができる一冊です。(KM)
  • 言葉と衣服
    『言葉と衣服』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著者=蘆田裕史
    出版社=アダチプレス
    日々欠かすことなく生活をともにする衣服。本書はファッション研究家である著者が曖昧な用語が飛び交うファッションの世界に向き合い、「言葉の定義=批評のためのインフラ整備」を試みる。美学やデザイン史など他分野の論理を取り入れ、ファッションの固有性を考察していく。衣服と身体の関係性に関しても哲学者・鷲田清一のファッション論を引き継ぎつつも、インターネット、SNSの普及による変化を指摘する。今後のファッション研究・批評における新たな一歩になる一冊。(SA)
  • 図解 アメリカの住居
    『図解 アメリカの住居』
    定価3,520円
    (本体3,200円+税10%)
    著者=レスター・ウォーカー
    訳者=中島智章
    出版社=マール社
    ヨーロッパ各国から入植者たちがやってきて、それぞれが自国の建築様式で住居を建築したアメリカでは、バラエティに富んだ建築を見ることができます。西暦300年のネイティブ・アメリカンの時代から、2000年のスペースコロニーまで、およそ100種類におよぶ住居様式の歴史を図解で紐解く本書。ページをめくるたびに異なる様式や間取りが図で説明され、そこにいたる物語が簡潔に示されており、資料として興味深いのはもちろん、「アメリカ」という国を知る上でも面白い知識が満載。「建築様式の宝庫」というのもうなずける変遷の多様さに、圧倒されること間違いなしです。(IN)
  • 倉俣史朗入門
    『倉俣史朗入門』
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    企画・構成=関康子
    出版社=ADP
    内装を手掛けたすし店「きよ友」が香港の美術館「M+」に丸ごと移設されたニュースも記憶に新しい世界的デザイナー倉俣史朗氏。没後30年を超えてもなお人々を惹きつける魅力とは。この本は日本のデザインアーカイブの保全と整備を行う事業「クラマタプロジェクト」を基に編集されたもの。事務所の歴代スタッフによる貴重な証言や氏を直接知らない世代のクリエイターによる倉俣デザインへの語りを通して、倉俣氏の魅力が立体的に浮かび上がります。発売直後より多くのお客様に手に取って頂き、若い方にも人気の書籍です。(KM)
  • 沖縄島料理 食と暮らしの記録と記憶
    『沖縄島料理 食と暮らしの記録と記憶』
    定価2,090円
    (本体1,900円+税10%)
    監修・写真=岡本尚文
    文=たまきまさみ
    出版社=トゥーヴァージンズ
    『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』に続く、「沖縄島探訪シリーズ」の第2弾。今回は「沖縄島料理」がテーマ。琉球王朝時代から伝わる琉球料理からステーキやタコスといった、戦後のアメリカの影響を受けて生まれた料理店を紹介。掲載されているのは料理や食材だけでなく、各店の歴史やオーナーへのインタビューも収録されている。多様な背景の中で培われてきた沖縄島料理の魅力を伝えるとともに、その店ならではの歴史やエピソードを知ることができる。沖縄という場所で食や料理を賄う人々の記憶を知り、自分と料理との関係を見つめ直す1冊。(SA)
  • 新版 雪に生きる
    『新版 雪に生きる』
    定価3,410円
    (本体3,100円+税10%)
    著=猪谷六合雄
    出版社=カノア
    昭和18年の発刊以来、読み継がれてきた名随筆が新装復刊。著者の猪谷氏は「何でもやってみる、何でも作ってみる」という好奇心と生来の器用さで、家族の住む山小屋や薪ストーブ、毛糸編みの靴下など身の回りのありとあらゆる生活道具をセルフビルドしました。そんな著者の生活記録である本書は、「生活する」ことに真正面から向き合う日々が軽やかに描かれています。「工夫と精進する生活を持ってどこへでも出て行こう。」(本書より)新しい生活様式に直面するいま、生活へのヒントをくれる一冊です。(IN)
  • 旅と料理
    『旅と料理』
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    著=細川亜依
    出版社=CCCメディアハウス
    その土地ならではの美味しい料理との出会いは旅の醍醐味のひとつ。料理家の細川亜依さんは旅先で食べたもの、見たもの、出会った人たちの言葉を頼りに料理をします。台湾、韓国、フランス、モロッコ、中国の各地の忘れがたい料理をエピソードとレシピで紹介。異国情緒豊かな料理が自宅で再現できちゃいます。どれも人の温もりが感じられるものばかり。気軽に旅行へ行きづらい今、この本を眺めて旅の気分を味わうのはいかがでしょうか。(KM)
  • 丗|SEI/徳田邸-京都 生きる喜び
    『丗|SEI/徳田邸-京都 生きる喜び』
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    著者=西沢立衛、徳田佳世
    発行所=millegraph
    建築家・西沢立衛が、伝統に向き合いながら職人たちとつくり上げた築100年を超える京都の町屋。手仕事の結晶であるその家は「丗|SEI」と名付けられました。現代美術キュレーターであるオーナーが求めた「宝物」のような家の秘密が、設計者・施工者・オーナー三者のエッセイや多数の図版から紐解かれます。前半は建築について、後半はこの家での活動を紹介。シンプルな本の佇まいからは想像がつかないほどの拡がりが感じられる一冊。(KM)
  • いつか中華屋でチャーハンを
    『いつか中華屋でチャーハンを』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=増田薫
    発行所=スタンド・ブックス
    町にある中華料理屋でカレーライス、バンメン、酸菜、あんかけカツ丼、生姜焼きといった定番から一歩外れたメニューの「美味」を求めて描かれるグルメ漫画エッセイ。登場する人物達はゆるいタッチなのですが、メインとなる料理は忠実に描写され、読み進めるたびに食欲をそそられます。著者の食の追求心から導き出される料理のルーツやその地域に根付いた理由はより食への興味を駆り立てます。(SA)
  • もてなしとごちそう
    『もてなしとごちそう』
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    著者=中村安希
    発行所=大和書房
    平壌からアフリカ南部のジンバブエまで、世界各地での一期一会を食事の記憶とともにつづったエッセイ集。半ば強制的なもてなしから、難民となって命からがら彼の地にたどり着いた家族からのもてなしなど、旅のなかで起こる出会い、その中心にある「ごちそう」が著者の鮮明な文章によって語られます。胃袋を刺激される料理の数々を眼で味わいながら、もてなすとは何か、おいしいとは何か、そしてなぜ人は誰かと飲食するのかという問いに、思いを馳せずにはいられない一冊です。(IN)
  • 建築の難問 新しい凡庸さのために
    『建築の難問 新しい凡庸さのために』
    定価3,960円
    (本体3,600円+税10%)
    著者=内藤廣
    発行所=みすず書房
    多くの建築を手掛ける一方で土木の教壇に立ち、まちづくりや都市計画、3・11後は震災復興計画にも深く関わった建築家・内藤廣さんが、建築を取り巻く問いかけに答えていく質問応答形式の本書。特に建築と土木の領域を横断した問いには内藤さんならではの答えもあり、自身の経験をもとに丁寧に言葉を重ねていくのが印象的です。本書を通して根底にあるのは「和解」という言葉。土木に関わった中で辿り着いたという利他の精神は、コロナ禍で社会が揺さぶられている今だからこそ深く心に響きます。(KM)
  • みみをすますように 酒井駒子
    『みみをすますように 酒井駒子』
    定価4,180円
    (本体3,800円+税10%)
    著者=酒井駒子
    発行所=ブルーシープ
    絵本作家・酒井駒子さんの2021年に開催された同名の個展の図録も兼ねた画集。これまで手掛けた25冊の絵本や書籍の中から約300点以上の原画やラフスケッチが400ページを超すボリュームで収録されている。画用紙や段ボールに黒い絵の具を下塗りし、その上に淡い色彩で描き出される子どもや動物たち。文字が付随されない画集だからこそ、描き出される静かな物語に向き合うことができる。そこから聴こえてくるささやかな声にそっと耳を澄ましたくなる。(SA)
  • つくるをひらく
    『つくるをひらく』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者=光嶋裕介
    発行所=ミシマ社
    ドローイング作品を描く建築家・光嶋裕介が「空間を身体で思考する」というテーマのもと、それぞれのフィールドで活躍する5人の表現者たちとともに重ねてきた対話を一冊にまとめた本書。各章では光嶋氏による対談「前夜」のメモ、実際の対談記録、対談後の振り返りである「余韻」が盛り込まれ、ひとりの「つくり手」が表現者との対話の前後でたどった思考の跡が楽しめます。「自分が変わっていく」という学びの本質とその喜びが詰め込まれた、「つくること」に携わるすべての人におすすめの一冊。(IN)
  • 芝園団地に住んでいます 住民の半分が外国人になったとき何が起きるか
    『芝園団地に住んでいます : 住民の半分が外国人になったとき何が起きるか』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=大島 隆
    発行所=明石書店
    「日本人と外国人が同じ場所で暮らすとき、何が起こるのか。」 2016年のアメリカ大統領選挙の取材で移民問題を目の当たりにし、米国社会の変容に危機感を抱いた著者が選択したのは、住民の半数余りが外国人という芝園団地(埼玉県川口市)に実際に住んでみることでした。毎日の暮らしから徐々に垣間見えてくる日本人住民に芽生える「もやもや」感。そこで著者が起こした行動とは。答えの見つからない難問に直面しながら、共生への模索がはじまります。(KM)
  • 沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶
    『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』
    定価2,090円
    (本体1,900円+税10%)
    監修・写真=岡本 尚文
    建築監修=普久原 朝充
    発行所=トゥーヴァージンズ
    琉球・沖縄の建築歴史年表から始まる本書。その中には執筆中に発生した首里城の火災も含まれている。沖縄に縁のある写真家と建築士が綴る本編は、10軒の建物紹介とその建物にまつわる人物へのインタビューという構成。建物探訪とともにその場に根付いた暮らしを感じることができる。多様な文化が混ざり合う沖縄で培われた建物とそこに生きた人びとの暮らしの「記録と記憶」をまとめた一冊。(SA)
  • くまの根 隈研吾・東大最終講義 10の対話
    『くまの根  隈研吾・東大最終講義 10の対話』
    定価2,970円
    (本体2,700円+税10%)
    編=隈研吾
    発行所=東京大学出版会
    2020年3月に東京大学教授を退官した隈研吾の最終連続講義の書籍化。人生の節目に影響を受けたという恩師や友人など総勢22人との10の対話を通じて、さまざまな角度から隈建築の創作ルーツを紐解きます。内田祥哉、上野千鶴子、原研哉ら各界の第一線で活躍するゲストとの鼎談はとても刺激的。知られざるエピソードも明らかにされ、読み応えがあります。(KM)
  • 緊縮ノスタルジア
    『緊縮ノスタルジア 』
    定価2,970円
    (本体2,700円+税10%)
    著者=オーウェン・ハサリー
    訳者=星野真志、田尻歩
    発行所=堀之内出版
    建築を中心としたモダニズム文化について、数多くの著作を発表している気鋭の若手批評家による本書。緊縮財政下の現代イギリスがいかに第二次大戦期(=以前の緊縮時代)へのノスタルジアで覆われているのかをデザイン、建築、食品、映画、音楽など幅広い視点から論じます。ノスタルジックな言葉が現代イギリスで溢れかえっているのはいったいなぜなのか。緊縮財政へのノスタルジックなレトリックがはらむ危険とは。「未来への想像力」を鋭く刺激する一冊です。(IN)
  • 女ふたり、暮らしています。
    『女ふたり、暮らしています。』
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    著者=キム・ハナ、ファン・ソヌ
    訳=清水知佐子
    発行所=CCCメディアハウス
    女ふたりと猫4匹で暮らす愉快な日々を綴ったエッセイ。尊敬できて気の合う友達だったふたりは、ひとり暮らしに孤独や不安を感じはじめたことをきっかけに、それぞれを人生の「パートナー」として共同生活をはじめます。様々な家族の形がそれぞれに幸せなら、その集合体である社会全体の幸福度は増していくはず。生活のなかで起こる様々な困難にも互いの想いをぶつけ合い、折り合いをつけていく姿がとても正直で健やかで、その風通しの良さに少なからぬ勇気をもらえる一冊です。(IN)
  • ダンス・イン・ザ・ファーム  周防大島で坊主と農家と他いろいろ
    『ダンス・イン・ザ・ファーム
    周防大島で坊主と農家と他いろいろ』
    定価2,090円
    (本体1,900円+税10%)
    著者=中村 明珍
    発行所=ミシマ社
    東京から瀬戸内海に面した周防大島に34歳で家族と移り住んだ著者。農業を中心にイベントやオンラインショップの運営、僧侶のお勤めなど、人の繋がりに導かれさまざまなことにチャレンジし続けています。いわゆる田舎暮らし、地方移住というと聞こえはいいけれど、実際は当事者にしかわからない大変さもあるようで。「島では当たり前の日常が、東京暮らしから見るとハプニング」という日々に突然起こった自然災害、そしてコロナ。それでも奮闘する暮らしをまとめたエッセイです。(KM)
  • イメージを読む
    『イメージを読む 』
    定価968円
    (本体880円+税10%)
    著者=若桑 みどり
    発行所=筑摩書房
    絵画はただ美しいだけではない。実は描かれた時代や思想を密やかに映し出している。レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』など世界的に有名な4つの名画にスポットを当て、イメージに隠された謎を紐解いていく。
    大学の講義を再構成し、知識がなくても美術史の面白さを知る入門書になっている。特に『モナ・リザ』の解説は、まるで推理小説のように、通俗化されたイメージの中に隠された謎を解き明かしていく。絵画鑑賞の新たな扉が広がる1冊。(SA)
  • 「仮住まい」と戦後日本 -実家住まい・賃貸住まい・仮設住まい-
    『「仮住まい」と戦後日本 -実家住まい・賃貸住まい・仮設住まい-』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=平山洋介
    発行所=青土社
    戦後日本の住宅政策では、「仮住まい」である借家から「定住」である持ち家に移行することが良しとされ、政府も住宅ローンなどの制度で優遇してきました。しかし現在、大きく変化する社会の中で、持ち家に移行できない、しない人が増えています。「仮住まい」を「実家」「賃貸」「仮設」それぞれ分析し、その原因を探ります。誰にとっても住まいは身近な問題ですが、「人生は最初から最後まで「仮住まい」の連続なのだ」という著者の意見には深く考えさせられました。(KM)
  • HANDS 手の精神史
    『HANDS 手の精神史』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=ダリアン・リーダー
    訳=松本卓也、牧瀬英幹
    発行所=左右社
    人間の歴史を「手を使って行うことの変化」として読み直す本書。文化や歴史、心理学や精神分析の理論を横断しながら自分自身や他者との関係、現代に潜む病理についてユーモアを交えつつ論じていきます。大学での講義が大人気というのも頷ける著者の軽快な語り口は、本書最大の魅力。デジタル時代の到来によって、人類は「手」をもっと忙しくできるようになったのではないか?身の回りにありふれたテクノロジーや日常の習慣について新たな視点を与えてくれる一冊です。(IN)
  • 猪名川霊園 礼拝堂・休憩棟
    『猪名川霊園 礼拝堂・休憩棟』
    定価3,960円
    (本体3,600円+税10%)
    著者=デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツ
    発行所=LIXIL出版
    兵庫県北摂山系の急斜面に位置する「猪名川霊園」。世界的建築家であるデイヴィッド・チッパーフィールドによって設計された、小さな礼拝堂と休憩棟の写真集です。写真家・鈴木理策によって撮影された、季節ごとに美しく変化する建築、庭、光の印影は、静謐な空間を備えながら自然にとけこむおおらかな建築の雰囲気を伝えてくれます。小説家・堀江敏幸のエッセイも収録。ぜひ手に取って紙の手触りを味わって頂きたい、大変美しい本です。(KM)
  • AB+ ──文字・記号・符号・暗号のデザイン
    『AB+ ──文字・記号・符号・暗号のデザイン』
    定価3,520円
    (本体3,200円+税10%)
    著者=松田行正
    発行所=LIXIL出版
    文字・記号・暗号・符号…人類がコミュニケーションを図るために作り上げてきたカタチの魅力を余すところなく伝える百科事典のような本書。アルファベットから漢字や暗号、消滅してしまった文字…多種多様な形が収録されている。普段使っている文字や記号の由来や現在の形に至るまでの過程は驚きの連続だ。タイトルから発想された判型や装丁はグラフィックデザイナーである著者のこだわりが詰まっている。(SA)
  • 「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護
    『「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著者=エマ・マリス
    訳=岸由二、小宮繁
    発行所=草思社
    サイエンスライターとして数々の新聞や雑誌に寄稿する著者は、「ウィルダネス(=手つかずの自然)」にこそ価値があるという従来の考え方に対して、今や「人間が介入しない自然」とは幻想であることを様々な事例と共に示していきます。人間が管理・介入していく「ガーデン」としての自然を多様なあり方で保護していく、「新しい」自然保護について提唱した本書。自然について考えるすべてのひとに、まず手にとってほしい1冊。(IN)
  • イランの家めし、いただきます! (わたしの旅ブックス010)
    『イランの家めし、いただきます!(わたしの旅ブックス010)』
    定価1,210円
    (本体1,100円+税10%)
    著者=常見藤代
    発行所=産業編集センター
    世界中を旅した人に、これまでに行った国で一番良かったと言わしめるイランという国は、とにかく人が親切で温かいらしい。女性がひとりヒッチハイクを繰り返しながら、イランの家庭を泊まり歩いたエッセイ。現地で偶然知り合った人に、うちでご飯を食べていけと言われ、温かくもてなしてもらう、そのホスピタリティの高さに驚かされるばかり。そして家庭料理の美味しそうなこと!食のありかたを通して、イラン人のライフスタイルが垣間見えてきます。(KM)
  • となりのヘルベチカ マンガでわかる欧米フォントの世界
    『となりのヘルベチカ マンガでわかる欧米フォントの世界』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=芦谷國一
    発行所=フィルムアート社
    欧米フォントたちがまさかの擬人化!書体がキャラクターとして登場する4コマ漫画を通じて、歴史や書体を扱う現場の声などを知ることができて、なるほどと思いながら読みました。普段何気なく触れていたフォント、広告やロゴにも適した書体があり、似たような字体でも使われる場所や印象がまるで違うものですよね。この本を読んでから周りを見回すと、見慣れたメーカーのロゴや駅のホームにある駅名サインが違って見えるかも.(KM)
  • アライバル
    『アライバル』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    著者=ショーン・タン
    発行所=河出書房新社
    セピア調のサイレント映画のようなグラフィックノベル。物語は主人公が言葉の通じない新しい土地へ移住するところから始まり、生活に少しずつ馴染んでいく様子をイラストのみで描写していく。未知の土地に訪れた際の戸惑いや驚き、喜びといった登場人物の心象を実際に自分が体験しているような臨場感がある。副読本として初期のスケッチ、コンセプトを収録した『見知らぬ国のスケッチ』(同出版社発行)は制作視点から著者の創りだす世界を知ることができる一冊。(SA)
  • ぼくは蒸留家になることにした
    『ぼくは蒸留家になることにした』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=江口宏志
    発行所=世界文化社
    果実やハーブを発酵させて蒸留機にかけ作る「オー・ド・ビー」と呼ばれる蒸留酒に魅せられた著者。書店経営の仕事を辞め、家族を連れて修行のためにドイツへ。帰国後、千葉の房総半島・大多喜町の元薬草園に自身の蒸留所「mitosaya薬草園蒸留所」を作るまでの物語です。機材の整備や法律のことお金のこと、次々に持ち上がる困難を、さまざまな人の助けを得ながら乗り越えていく。何より毎日を楽しんでいることが伝わってきてわくわくさせられます。(KM)
  • 手の倫理
    『手の倫理』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=伊藤亜紗
    発行所=講談社
    人が人にさわる/ふれる時、なにが起っているのでしょう?気づけば私たちは「手」のほんの少しの力加減やタイミングで多様なサインを交換し合っています。「触覚の最大のポイントは、それが親密さにも、暴力にも通じている、ということです。」(序文より)ケアや子育ての場面でも重要な「触覚」の経験について分析し、人と人との関わりの新たな創造的可能性に迫った本書。著者の軽やかで的確な文章によって、様々な記憶が身体から呼び起こされていく、そんな読書体験が得られる一冊です。(IN)
  • 消えゆくアジアの水上居住文化
    『消えゆくアジアの水上居住文化』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    編著=畔柳昭雄  共著=市川尚紀・舟岡徳朗
    発行所=鹿島出版会
    アジアの水辺には、船や水上に建てた住居に暮らす水上居住文化があります。その成り立ちは民族的なものや地理的なものなど様々ですが、どの地域も緩やかに水辺と共生しエコロジカルでサスティナブルな環境性能が見られます。ブルネイには住居以外に学校や商店、モスクもあり3万人が暮らす水上住居群があるとか。フィールドワークを通して水辺の暮らしを色々な角度から紐解いた一冊。近年都市化により急速に変容しつつあり、貴重な記録です。(KM)
  • ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-
    『ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=吉田誠治
    発行所=パイ インターナショナル
    背景グラフィッカーやイラストレーターとして活躍する著者が創り出す、物語を読むと出てきそうな「家」と設定が詰め込まれた美術設定集。登場する家ごとに国や時代が違い、ページをめくる度ちょっとした旅行の気分を味わえます。細部のディテールまで描き込まれた絵と散りばめられている設定を手がかりに住人の日常の暮らしを想像するのが楽しいです。巻末には著者によるメイキングを掲載。作品の制作過程は必見です。(SA)
  • あいたくてききたくて旅にでる
    『あいたくてききたくて旅にでる』
    定価2,970円
    (本体2,700円+税10%)
    著者=小野和子
    発行所=パンプクエイクス
    口から耳へと語り継がれてきた「民話」を東北の地でおよそ50年にわたり訪ねた、民話採訪者・小野和子による本書。民話を語るひとの声を<聞く>ことに誠実である著者の姿勢は、むしろ語られずに残されない物語が在ることを強く思わせます。語りを乞うて訪ね歩く筆者とともに、物語の旅にでよう――。ひとりひとりの身体から語られる宝物のような物語が、読者であるわたしたちの元へこうして届いていることが奇跡のようにかがやいて尊い一冊です。(IN)
  • 歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ
    『歩いて、食べる 東京のおいしい名建築さんぽ』
    定価1,540円
    (本体1,400円+税10%)
    著者=甲斐みのり
    発行所=エクスナレッジ
    アールデコ様式の装飾がちりばめられた<日本橋三越本店>の「お子様ランチ(蒸気機関車型の器!)」、日本最古のビアホール<ビアホールライオン銀座七丁目店>のグラスビール、村野藤吾の設計による<目黒区総合庁舎>の食堂で食べる「特大大盛カレー」。この本には東京の25の名建築とその中でいただけるおいしいものが紹介されています。名建築独特の雰囲気とも相まってどれも美味しそう。保存の機運が高まっているとはいえ、いつ行けなくなるかわからない「名建築」を巡るお散歩へ出かけてみませんか。(KM)
  • 茶室学講義 日本の極小空間の謎
    『茶室学講義 日本の極小空間の謎』
    定価1,276円
    (本体1,160円+税10%)
    著者=藤森照信
    発行所=KADOKAWA
    日本の極小空間の原点である「茶室」に建築史家でもあり、自らも茶室を手がける建築家、藤森照信が迫る本書。前半は茶室の起源から始まり近代の茶室の歴史を紐解いていく。後半は自らが手がけた茶室を通し氏の茶室論が語られている。最終章には磯崎新と茶室についてさまざまな角度で語り合った談義を収録。第一人者が語る茶室の魅力が詰まった一冊。(SA)
  • 文化人類学の思考法
    『文化人類学の思考法』
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    編著=松村圭一郎、中川理、石井美保
    発行所=世界思想社
    経済や文化、政治などあらゆることが急速に変化する現代。「考える」ことが最も必要であると同時に、その難しさを日々実感することが増えている方も多いのではないでしょうか。知らず知らず囚われてしまうこれまでの「あたりまえ」を疑い、考え続けるための必需品とも言える「思考のための道具」が本書には詰め込まれています。もしかしたら「違うやり方」はすこし目線を変えた先にあるのかも。文化人類学の基礎や現代の重要事項を簡潔に紹介したコラムやブックガイドも魅力の一冊。(IN)
  • 現代住宅の納まり手帖
    『現代住宅の納まり手帖』
    定価3,740円
    (本体3,400円+税10%)
    編著=伊藤博之、川辺直哉、田井幹夫、松野勉
    発行所=彰国社
    部材と部材の接点やその仕上がり具合を指す「納まり」。特に住宅の納まりは、建築家のこだわりが最も出やすい場所なのではないでしょうか。この本には1990年から現在までに発表された現代住宅の中から、100点の納まりの事例が収録され、部位ごとに整理されています。見開きに詳細図と写真、解説がコンパクトにまとめられていて、手元に置いて何度も使いたい。ステップアップしたい設計者にぜひ読んでいただきたい本です。(KM)
  • 生物から見た世界
    『生物から見た世界』
    定価792円
    (本体720円+税10%)
    著者=ユクスキュル、クリサート
    訳=日高敏隆、羽田節子
    発行所=岩波書店
    生物学の古典、様々な分野に影響を与えた名著。人間を含むすべての生物は知覚と行動によって作り出される「環世界」を持っている。それぞれの生物に必要な情報は異なり、主体によって必要な情報だけを知覚し、作用する範囲で生きている。本書は昆虫や鳥などがどのように世界を知覚し、作用しているのか具体的な実例と豊富な図解で紹介。翻訳者のあとがきには60年前の書籍を新訳に至った経緯が記されており、翻訳者と本書の関係も興味深い。視点の転換、新たなものの考え方や見かたのきっかけを与えてくれる1冊。(SA)
  • 戸惑う窓
    『戸惑う窓』
    定価880円
    (本体800円+税10%)
    著者=堀江敏幸
    発行所=中公文庫
    「窓」に関するエッセーのような小説のような、25篇の魅惑の小品集。大聖堂のステンドグラス、プルースト、マチス、安部公房、タルコフスキーなど小説家や画家、映画監督が見つめた「窓」について柔らかな筆致で紹介され、まるで小さな窓を覗くように読みすすめていくうちに作品世界へと引き込まれていきます。窓の前にいると、「いつか、かならず、なにかが起きるのではないかと思わずにいられない。」(本書より)
    窓を覗く時間がより一層増えている今、一息ついてゆっくり本書をめくりながら時間をすごすのもおすすめです。(IN)
  • "山"と"谷"を楽しむ建築家の人生
    『"山"と"谷"を楽しむ建築家の人生』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者=山﨑健太郎・西田司・後藤連平
    発行所=ユウブックス
    最近、建築を学ぶ学生たちの就職先としてアトリエ系建築事務所が選ばれない傾向があるようです。その背景のひとつに「働き方」に対しての不安があるのではないでしょうか。では、実際どうなのか?自身で建築事務所を構える7人が建築家の生々しい生活を語ってくれます。それぞれに不遇の時代があり、人生の"谷"の部分を赤裸々に答える一方で、皆建築を心から楽しんでいる方ばかりなのが印象的です。これから建築を通じて仕事をしていこうとしている方に特におすすめしたい本です。(KM)
  • さあ横になって食べよう―忘れられた生活様式
    『さあ横になって食べよう
    ―忘れられた生活様式 (SD選書)』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者=バーナード・ルドフスキー
    監修=多田道太郎
    訳=奥野卓司
    発行所=鹿島出版会
    キリストの時代、食事をするときは横になる習慣があった!
    食べる、眠る、座る、洗い清める、入浴するといったヒトの5つの基本的行為について、西洋近代の作法や習俗を過去と現在で比較した本。そこにはなんと誤解に満ちた価値観のあることか。
    西洋化によって日本の伝統的な生活習慣がどんどん失われている今、当たり前と感じながらも消えつつある文化や習慣を見つめなおすきっかけになる、1985年発刊の名著。(KM)
  • 真鍋博の植物園と昆虫記
    『真鍋博の植物園と昆虫記』
    定価1,210円
    (本体1,100円+税10%)
    著者=真鍋博
    発行所=筑摩書房
    星新一の装画などで知られるイラストレーター・真鍋博氏の作品集が合本になって復刊。高度経済成長期後の1970年代の社会を "植物"と"昆虫"に見立て、ユーモアと風刺を織り込んだイラストと簡潔な文書で綴られる。著者のどこか達観した視点から観察され描かれた"植物"と"昆虫"は、本書が描かれた時代から数十年たっても色あせることなく、鋭く現在の社会に通じる内容になっている。(SA)
  • 時をかける台湾Y字路 記憶のワンダーランドへようこそ
    『時をかける台湾Y字路 記憶のワンダーランドへようこそ』
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    著者=栖来ひかり
    発行所=ヘウレーカ
    台湾に長く暮らしてきた筆者が、実際に台湾中を歩いて調べつくした台湾Y字路案内本。都市の道路は通常碁盤の目に計画されることが多い中、なぜこんなかたちになったのか?捜し歩くとそこには、原住民族が暮らしていたころから清代、日本時代、戒厳令時代、そして現代と人々が積み重ねてきた記憶の"ワンダーランド"がありました。観光地としての台湾ではなく、人々が行き交い、移ろう時代を堆積させてきた土地としての台湾を知ることができる一冊です。(IN)
  • 郵便配達夫シュヴァルの理想宮
    『郵便配達夫シュヴァルの理想宮』
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者=岡谷公二
    発行所=河出書房新社
    フランス南東部、人口1,500人の小さな村オートリーヴに「シュヴァルの理想宮」と呼ばれる石の宮殿があります。これは地元の郵便配達員であったジョゼフ=フェルディナン・シュヴァル(1836-1924)が仕事の傍ら30年以上かけて石を集め、たった一人でこつこつと積み上げて作ったもの。建築や石工の仕事に全く無知だった彼が、いったいどのようにして、何のために作ったのか?世界を驚愕させたとてつもないセルフビルド建築、石の宮殿について日本で初めて紹介した貴重な1冊。(KM)
  • 色彩の手帳 建築・都市の色を考える100のヒント
    『色彩の手帳 建築・都市の色を考える100のヒント』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    著者=加藤幸枝
    発行所=学芸出版社
    色彩計画家・加藤幸枝さんによる、色彩計画における100のヒント集。2016年に自費出版で発行された『色彩の手帳 50のヒント』を主軸としつつ、新たに「色の基本構造と目安」、「色彩計画の実践に向けて」の項目が追加され、理解度を深める内容になっている。色彩を扱う仕事の中で、選定する際に必要な考え方や根拠、効果や影響について、それぞれの解説がわかりやすい。様々な場面で実践できる色の見方、選定の手がかりになる一冊。(SA)
  • HIGH LINE アート、市民、ボランティアが立ち上がるニューヨーク流都市再生の物語
    『HIGH LINE アート、市民、ボランティアが立ち上がるニューヨーク流都市再生の物語』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    著者=ジョシュア・デイヴィッド、ロバート・ハモンド
    訳=和田 美樹
    発行所=アメリカン・ブック&シネマ
    アメリカ・ニューヨークの有名観光スポット、空中公園「HIGH LINE(ハイライン)」整備についてのドキュメンタリー。老朽化と再開発を理由に解体されようとしていた元貨物列車の高架線。一部のニューヨーカーがそんな再開発計画を退け、ハイラインを活かして新たな街をつくる事を選択する。保存運動、建築、地域の取りまとめ、植物栽培、資金調達、行政との連携、公園の運営などあらゆる困難を乗り越え、今日年間500万人近くの入場者が訪れるまでになった都市再生の物語。(KM)
  • 藤森照信のクラシック映画館
    『藤森照信のクラシック映画館』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    著者=藤森照信 写真=中馬聰
    発行所=青幻舎
    「映画館」というビルディング・タイプに関する画期的な研究書。明治末期から急激に隆盛し、また現在では次々と姿を消している映画館は、日本人が江戸の見世物小屋へ通った頃から夢見続けた、「娯楽」への欲望を映し出す建築群です。銭湯と隣り合っていたり、表は洋館風なのに裏は木造の和風建築だったり、成立の経緯もおかしければ表現自体も何かおかしい、そんな愛すべき映画館たちを藤森氏は、史料を紐解き、映画館を訪ね、その変遷をたどります。巻末には全国の特色ある映画館マップも収録。本書を片手に、映画を観に出掛けたくなる一冊。(IN)
  • 乃木坂 歴史と謎をめぐる旅
    『乃木坂 歴史と謎をめぐる旅』
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者=藤城かおる
    発行所=えにし書房
    BookshopTOTOは東京・乃木坂にあります。乃木坂という住所表記が無いからか、「乃木坂ってどこ?」と聞かれやすい、赤坂・青山一丁目・六本木に挟まれたエリア"乃木坂"の近現代を探る本。地名の由来は軍人乃木希典の住まいがあったからですが、近くの東京ミッドタウンは元防衛庁、その前は歩兵第一連隊跡地だそうで、戦前は軍都の様子。江戸後期から現在までの資料をたどった読後は「乃木坂ってここ!」と思って頂けるのではないでしょうか。ちなみに著者は某アイドルのファンで、聖地巡礼をきっかけに探索をはじめたとか。(KM)
  • CHANGE 未来を変える、これからの働き方
    『CHANGE 未来を変える、これからの働き方』
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=谷尻誠
    発行所=エクスナレッジ
    建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICEの共同代表である谷尻誠さんは住宅や店舗の設計をする建築家でありながら、食堂や不動産会社、イベント運営会社を稼働させるなど、新たなチャレンジを次々と仕掛けている起業家でもあります。谷尻さんがどのようにして道を切り拓き、何を考え、どう行動してきたかを語る仕事論。「違和感を大切に」「世にないものを探す」「スケッチよりコトバを描いて想像」など印象的な言葉が大変読みやすい文章で書かれていて、どんな職業にも共通したヒントが見つかるはずです。(KM)
  • 家族と一年誌『家族』2号
    『家族と一年誌『家族』2号』
    定価2,310円
    (本体2,100円+税10%)
    発行所=株式会社HYOTA
    毎号一年の歳月を通じて一つの家族を追いかけ、変化や決断に一冊丸ごと寄り添う雑誌、家族と一年誌『家族』。企画・取材・制作も一つの家族が行っています。
    第二号で取り上げられているのは千葉県大多喜市にあるmitosaya薬草園蒸留所を営む江口一家。お父さんの醸造家になるという夢を叶えるため、ドイツでの修行を経て、縁あって千葉県大多喜市に移り住んできた江口家。蒸留所オープンに向けて、家族4人の挑戦と冒険の数々をカメラが追いかけます。家族っていいな、と思わせてくれる一冊。(KM)
  • 春と修羅
    『春と修羅』
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    文=宮沢賢治
    絵=塩川いづみ
    発行所=torch press
    宮沢賢治の名作『春と修羅・序』にイラストレター・塩川いづみのドローイングを添えた詩画集。宮沢賢治の言葉を受け描かれたドローイングと手描きのテキストによって相互の世界感が深く繋がり表現されている。『春と修羅』の全編を通し描かれた数多くのドローイングの中から、デザイナーと共に言葉と絵を組み合わせたそうだ。鉛筆の線のタッチを生かすためにメタルブルーのインクを使用し、装丁にもこだわりが詰まっている。 (SA)
  • 山の上の家―庄野潤三の本
    『山の上の家―庄野潤三の本』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=庄野潤三ほか
    発行所=夏葉社
    戦後「第三の新人」のひとりとして文壇に登場した庄野潤三(1921-2009)の「作家案内」である本書。ごく身近な日常の出来事を創作の要とした庄野にとって彼の「家」は、執筆の場であり、家族と過ごす場でした。小さな日常が二度と戻れない日々であることを深く静かに教えてくれる庄野作品を支え、実際にいくつもの作品にあらわれる「山の上の家」を、カラー写真で丁寧に写しだします。庄野作品にほれ込んだ人々による解説付き全著作案内も収録。日常の美しさに、本書を通してそっと触れてみては。(IN)
  • リフォームの爆発
    『リフォームの爆発』
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    著者:町田康
    発行所:幻冬舎
    小説家町田康が2頭の大型犬と6匹の猫と暮らすために行った自宅リフォーム記。この本の凄いところは、図面も写真もイラスト一つ無いところ。リフォーム工事の顛末が、すべて独特の文章で繰り広げられます。業者さんとの距離の取り方に悩んだり、工事の仕上がりの素晴らしさにおののいたりしながら、著者は理想と妥協の蟻地獄をどう突破したのか。どこまでがドキュメンタリーでどこからが創作なのか、よくわからないけれど面白い文学的ビフォー・アフター。(KM)
  • ウッツォンの窓の家 マヨルカ島の《キャン・リス》をめぐる断章
    『ウッツォンの窓の家 マヨルカ島の《キャン・リス》をめぐる断章』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    著者:和田菜穂子、山田新治郎
    発行所:彰国社
    シドニーのオペラハウスを設計したことで知られるヨーン・ウッツォンがオペラハウス建設の途中、現場を解雇されていたことをご存知ですか。失意の彼を癒したのが、地中海マヨルカ島に作った夏の別荘『キャン・リス』です。祖国の北欧には帰らず温暖なこの地で、時間をかけ、愛情を込めて小さな家を作りながら英気を養ったウッツォン。著者は実際にこの住宅に滞在しながら、ウッツォンの追い求めた住まいのありかを解き明かしていきます。豊富な写真が想像を駆り立てる一冊。(KM)
  • 未来のコミューン──家、家族、共存のかたち
    『未来のコミューン──家、家族、共存のかたち』
    定価3,520円
    (本体3,200円+税10%)
    著者:中谷礼仁
    発行所:インスクリプト
    私たちが当たり前に出ていき、戻ってゆく「家」とは何か。家という構造によって避けがたくもたらされる出来事について生物的、歴史的な分析が、今和次郎、エンゲルス、ハンナ・アーレント、クリストファー・アレグザンダーらの思想に導かれ、著者の経験知と共に展開していきます。「家」は住む人を社会から分断するただの器ではなく、時代と共に住む人と社会との境界線を定義し続けながら、なによりもまず住む人のからだの要求から作られるのではないか。現代の「家」のあるべき姿について考えさせられる一冊です。(IN)
  • 建築への旅 建築からの旅
    『建築への旅 建築からの旅』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    企画:二川由夫
    発行所:エーディーエー・エディタ・トーキョー
    実際に出かけて、たくさんの実物を見ることが大事だといいますが、かつてル・コルビジェが東方を旅したように若いころから世界中めぐり、眼を養ってきた建築家が多いようです。そんな旅のプロでもある建築家70名が「旅」について語った本です。建築家の創造力をかきたてる旅とはどんなものなのでしょうか。旅の思い出やこだわりの持ち物、おすすめスポットなど、ガイドブックには載っていない情報が満載で建築を見に旅に出たくなること間違いなしの一冊。この本をお供に、旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか。(KM)
  • 南インド キッチンの旅
    『南インド キッチンの旅』
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    文・イラスト・写真:齋藤名穂
    発行所:ブルーシープ
    海外のキッチンって気になりませんか。この本は日本人建築家が南インドのキッチンを訪ねた記録です。「キッチンにこそ、その土地の文化や日常の暮らしの本当の姿がある」と本文にあるように、日本では見慣れない調理器具や特有の材料から作り出される美味しそうな料理、調理中の会話などから、南インドの人々の日常を飾ることなく描いています。レシピもついたスケッチブックのような一冊。インドの出版社タラブックスから2017年に出版された書籍の日本語版です。(KM)
  • 『パン屋の手紙 ―往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで』
    『パン屋の手紙 ―往復書簡でたどる設計依頼から建物完成まで』
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者:中村 好文、神 幸紀
    発行所:筑摩書房
    北海道のパン職人から東京の建築家へ店舗設計依頼の手紙が届くことから始まる本書。土地に根差したパン屋が出来上がっていくまでに交わされた往復書簡を軸にスケッチや写真を交え綴られている。やりとりは淡々と積み重なり設計依頼者と建築主との立場や互いの気持ちを尊重しあった深い信頼関係が築きあがっていく。それは事務的というよりも、まるで友人に宛てた手紙のような暖かさを感じさせる。出来上がった店舗は質素ながらも美しく、人の温もりがあふれている。(SA)
  • 我々は人間なのか? - デザインと人間をめぐる考古学的覚書き
    我々は人間なのか? - デザインと人間をめぐる考古学的覚書き
    定価3,300円
    (本体3,000円+税10%)
    著者=ビアトリス・コロミーナ、マーク・ウィグリー
    発行所=ビー・エヌ・エヌ新社
    2016年に開催された第3回イスタンブール・デザイン・ビエンナーレの「解説本」として位置づけられた本書は、同ビエンナーレのキュレーターである2人の建築理論家によって著されました。ビエンナーレ開催にあたって彼らは「デザインとは何か?」という根本的な問いを立て、石器時代から現在のデジタル時代へと至る「デザイン通史」を描き出し、デザインと「人間」の関係性に迫ります。掲載されているイメージや言葉はどれも読みやすく考えさせられるものばかり。まずは気の向くままに頁を開いてみてください。(IN)
  • それいけ避難小屋
    それいけ避難小屋
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者=橋尾歌子
    発行所=山と渓谷社
    避難小屋とは、「悪天候などの非常時に避難、休憩、宿泊するための山小屋」(本文より)。基本的に山中にあるそれらを、登山家でイラストレーターでもある著者が訪ね歩き紹介した本。“非常時”と聞くとちょっと怖いイメージを連想しますが、カラフルなイラストがそれらを払拭してくれます。横になれるスペースとストーブ(または薪)があり、命を守る最低限の空間は、なんと個性的なものが多いことか!本を持って訪ねてみたくなりました。(KM)
  • 雨と生きる住まい-環境を調節する日本の知恵
    雨と生きる住まい-環境を調節する日本の知恵
    定価1,650円
    (本体1,500円+税10%)
    企画=INAXライブミュージアム企画委員会
    発行所=LIXIL出版
    世界でも有数の雨の多い国である日本。私たちは、太古の昔から雨と親しんできました。それは言葉や文学、絵画の中にさまざまな雨の表現があることからも明らかです。同時に、雨や多湿に対する知恵も伝えられています。私たちの祖先は、家づくりにおいて雨とどう向き合ってきたのか。それは雨水に抗うのではなく、いかに凌ぐかというものでした。近年ゲリラ豪雨や台風による水害が増えていますが、今こそ見直されるべき技術があるのではないでしょうか。(KM)
  • 考現学入門
    考現学入門
    定価1,100円
    (本体1,000円+税10%)
    著者=今和次郎
    編集=藤森照信
    発行所=筑摩書房
    現在の都市風俗を分析する「考現学」の祖、今和次郎の書籍。大正から昭和初め頃の、街角の風俗や暮らしが観察・採集されています。例えば、通行人の髪型、服装、スカートの長さから食堂の茶碗のヒビの入り方に至るまで、徹底的に観察され、手書きイラストで表現。当時の銀座では、男性の半分が洋服姿だったのに対して、女性はまだほとんどが和服姿だったというようなデータも。資料性も高く、街歩き好き・散歩好きの方に読んでほしい一冊です。(KM)
  • 惜櫟荘だより
    惜櫟荘だより
    定価1,012円
    (本体920円+税10%)
    著者=佐伯泰英
    発行所=岩波書店
    岩波書店創業者、岩波茂雄が熱海に建てた近代数寄屋の名建築、惜櫟荘(せきれきそう)。建築家・吉田五十八が手掛けたこの建物を譲り受けた著者は、後世に残したいという強い思いから、私財を投じて完全修復を目指します。それは建物を一度解体し、家具や調度のすべてを当初の姿に復元するという大がかりなもの。設計図のない中、建物を図面に起こすことからはじめ、完成まで足掛け4年。大工・左官・石工ら職人の仕事ぶりを、時代小説家ならではの観察眼で追います。(KM)
  • 建築をつくる者の心
    建築をつくる者の心
    定価1,100円
    (本体1,000円+税10%)
    著者=村野藤吾
    編集=大阪府「なにわ塾」
    発行所=ブレーンセンター
    大阪府主催の「なにわ塾」にて、建築家・村野藤吾氏とコーディネーターとして長谷川堯氏を迎えて行われた、対談講座をまとめた書籍。村野氏が自ら手がけた作品解説をはじめ、活動拠点としていた大阪の建築物についての対談など、内容は多岐にわたる。「建築」や、「建築家としての役割」とは何かということが語られており、難解と言われている氏の建築哲学を理解する一助となる一冊である。これから建築を学ぶ方にぜひ読んでもらいたい。(SA)
  • 建築家のためのウェブ発信講義
    建築家のためのウェブ発信講義
    定価2,310円
    (本体2,100円+税10%)
    著者=アーキテクチャーフォト・後藤連平
    発行所=学芸出版社
    建築系情報メディア「アーキテクチャーフォト」を運営する著者が、建築家に向けたウェブ発信の方法を教えます。今、建築家として重要なメディアスキルとはなにか。スピード感のあるウェブの世界でどのように自身の強みを発信していくか。“建築設計の考え方でウェブサイトを運営”や“導線という考え方はウェブ発信でも有効”など、ユニークな方法論が展開されます。後半はInstagram、TwitterなどのSNSを駆使しながら、ウェブ発信を実践している9人の建築家を紹介。読み手それぞれの目的に合った情報発信の方法が見つかります。(KM)
  • 小さな平屋に暮らす。
    小さな平屋に暮らす。
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    編者=山田きみえ
    写真=雨宮秀也
    発行所=平凡社
    まずこのタイトルが気になった方にぜひおすすめしたい書籍。自然豊かな郊外に小さな平屋を建て、必要最低限のモノだけでシンプルに暮らしている6例が紹介されています。一番の特徴は、それぞれの住み手自身によるエッセイが添えられているところ。家族構成や住まい方は異なりますが、お金では買えない豊かな暮らしと、家族の気配が感じられる平屋のゆったりとした雰囲気が伝わってきます。建てるときに知っておきたい「小さな平屋」基礎講座付き。建築家・堀部安嗣さんによる「林芙美子記念館」の紹介も。(KM)
  • あるノルウェーの大工の日記
    あるノルウェーの大工の日記
    定価1,870円
    (本体1,700円+税10%)
    著者=オーレ・トシュテンセン
    発行所=エクスナレッジ
    ノルウェーで働く大工さんの日記形式のエッセイ。
    ある夫妻から130年前に建てられたアパートの屋根裏を改装する仕事を請け負います。仕事を進めながら、さまざまな現場の苦労、ノルウェー建設業界の事情、職人としての誇り、仕事仲間との連帯感などが日記を通じて語られます。そして、ついに引渡し。この本にはノルウェーも日本もかわらない、ものづくりの素晴らしさが詰まっています。手仕事っていいな、としみじみ思わせてくれる一冊です。(KM)
  • カタチから考える住宅発想法 「空間づくり」をはじめるための思考のレッスン
    カタチから考える住宅発想法 「空間づくり」をはじめるための思考のレッスン
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=大塚篤
    発行所=彰国社
    住宅設計を機能や間取りではなく「カタチ」から考える方法を紹介した本。例えば“斜面に建つカタチ”のセクションでは、建物を斜面に埋め込む・浮かべる・沿わせる・突き出すことを考え、カタチを空間に見立てて自分が入り込んだ様子を想像してみます。そしてそこでどんな居場所が欲しいか、どんな屋根が欲しいか、どんな眺めがみたいかと思考を進めていきます。30の視点がテーマごとに整理され収録。住宅設計の初心者に心強い、大人気の書籍です。(KM)
  • ザハ・ハディッドは語る
    ザハ・ハディッドは語る
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著者:ザハ・ハディッド、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト
    発行所:筑摩書房
    新国立競技場コンペで一躍時の人となったイラク出身の女性建築家ザハ・ハディッド氏。この本は2000年代に世界的建築家として認められ、数々のプロジェクトを抱えていた時期に収録された日本語で読める唯一のインタビュー集です。自身が語る創造のこと、アラブ文化のこと。あの独特で斬新な建築の秘密が圧倒的なパワーで語られています。惜しくも一昨年亡くなられ、結果的に彼女の作品が日本に建てられるチャンスを失ったことがただ残念でなりません。(KM)
  • 新しい分かり方
    新しい分かり方
    定価2,090円
    (本体1,900円+税10%)
    著者:佐藤雅彦
    発行所:中央公論新社
    NHK教育番組「ピタゴラスイッチ」などを手がけてきた佐藤雅彦さんが10年の月日をかけて作り上げた書籍。序盤は写真やイラストの作品、終盤は作品の解説を含めた随筆で構成されており、より作品への理解を深めていきます。作中にある仕掛けを体験することで、普段は何気なく行っていることでもどのように思考しているのか、どのような方法で伝えているのかを実感することができます。「分かる」や「伝える」ことの楽しさが新たに発見できる一冊です。(SA)
  • 藤森照信の特選美術館三昧
    藤森照信の特選美術館三昧
    定価2,750円
    (本体2,500円+税10%)
    文・絵:藤森照信
    発行所:TOTO出版
    ―日本の美術館は、世界的にみると、きわめて特異である。質のことはひとまず置いておいて、その量がちょっと変わっている―(はじめにより) 日本全国津々浦々の市町村にまで、あまねく美術館があるという状況は、世界広しといえども日本独特の状況なのだそうです。あらためてみると、日本列島は美術館列島といえるのです。本書は、著者がその中から美術館27件を厳選。この本が、ほかの美術館紹介本と比べて一風変わっているのは、あまり一般的に知られていない小さな美術館の魅力を取り上げていること。週末のお出かけや旅行の際にぜひ足をのばす参考にされてはいかがでしょうか。(FH)
  • 建築はほほえむ
    建築はほほえむ
    定価1,430円
    (本体1,300円+税10%)
    文・絵:松山巌
    発行所:西田書店
    平易な言葉を繋ぎながら、「建築とは何か」という本質へと誘います。著者はタイルの目地のような、意識的につくる隙間が重要だと説きます。なぜなら人も建築も街も、いつも緊張したままでは疲労してしまうから。はじめて建築を学ぶ人たちに向けて書かれた本ですが、忙しい毎日を送る全ての人に気づきを与えてくれます。活版印刷による本のたたずまいも美しく、手元に置いて何度も読み返したくなる、詩集のような本です。(KM)
  • 下町の名建築さんぽ
    下町の名建築さんぽ
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者:大島健二
    発行所:エクスナレッジ
    東京下町の100の名建築が、見開きで一つずつ紹介されています。著者によるイラストで描かれた建物や町並みからは温もりが感じられ、その場にいるかのような雰囲気を味わうことができます。そこを訪れたことがない方はもちろん、訪れたことがある方も、足を運びたくなります。本書を片手にそれぞれの名建築巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。とくに学生さんに読んでいただき、歴史ある建物に触れるきっかけにしてほしい一冊。(OT)
  • 東京スリバチ地形入門
    東京スリバチ地形入門
    定価880円
    (本体800円+税10%)
    文・絵:皆川典久/東京スリバチ学会
    発行所:イースト・プレス
    東京の町地形をめぐる23のエピソードをまとめた地形探索の入門書。スリバチ状の地形、暗渠、階段、坂道、湧水、パワースポット、路線などの様々な視点から東京の地形が紹介されています。鉄道を使って地形を体験する「地形鉄」のエピソードでは鉄道路線図とその土地の断面図が説明されており、地形が一目でわかるとともにその高低差に驚かされます。地形に着目することで新たな町の魅力を知ることのできる一冊です。(SA)
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宇宙 -そのひろがりを知ろう-
宇宙 -そのひろがりを知ろう-
定価1,650円
(本体1,500円+税10%)
文・絵:加古里子
発行所:福音館書店
始まりに登場するのは、自由に飛びはねる小さな虫たち、人よりずっと速く走る動物たち。次に様々な乗り物や建造物が描かれ、より速く、高く遠くへと視点は移動していきます。地球を離れ太陽系の星々を見つけ、遠く宇宙の果てが現れた頃にはまるで本当に真っ暗な宇宙へ辿り着いたような気持ちに。広い宇宙を知り自身に立ち返ることで、身近な虫や動物、あらゆるものにそれぞれの壮大さがあることを実感できる絵本です。建築家の石上純也さんもおすすめしています。(HM)
  • 旅はゲストルーム 測って描いたホテルの部屋たち
    旅はゲストルーム 測って描いたホテルの部屋たち
    定価946円
    (本体860円+税10%)
    著者:浦一也
    発行所:光文社(光文社知恵の森文庫)
    世界中のホテルを建築家が実測しスケッチで記録した数69室!リッツ・カールトンも都ホテルも、まるで一緒にホテルを訪れているかのよう。スケッチは家具や備品のディテールにまで及び、専門家ならではの文章が加わり想像力が掻き立てられます。また、ホテル備え付けのオリジナル便箋にスケッチを書き留めているところにも惹かれます。旅に出たくなること間違いなしの一冊です。(KM)
  • デリシャスライティング
    デリシャスライティング
    定価2,420円
    (本体2,200円+税10%)
    著者=東海林弘靖
    写真=金子俊男
    発行所:TOTO出版
    「日本の照明は、戦後の『より明るく』を引きずっていて、まぶしすぎる」と豊かな暮らしを演出するための照明の活かし方を紹介。料理のレシピさながらに、キャンドルなど身近なアイテムを活用して照明をつくるアイデアも秀逸。「照明をオレンジ色にすると、ケンカがなくなる」そうで我が家でも実践中です。(TY)
  • ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語
    ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語
    定価660円
    (本体600円+税10%)
    監修:ヴィトルト・リプチンスキ
    訳:春日井晶子
    発行所:早川書房
    この千年の中で最高の道具は何だと思いますか?」このような質問をされたらどんな道具を思い浮かべるだろうか?この千年の間で最も優れた利用価値の高い道具をテーマにしたエッセイの執筆を提案された著者は、悩んだ末に妻の言葉からある道具に辿りつく。千年にも及ぶ歴史から紐解かれる道具の物語。随所に散りばめられた挿絵も愉しめる一冊。(OT)
  • a+u 2010年11月号臨時増刊 ル・トロネのアルヴァロ・シザ―経路と作品
    a+u 2010年11月号臨時増刊 ル・トロネのアルヴァロ・シザ―経路と作品
    定価2,409円
    (本体2,190円+税10%)
    監修:ドミニク・マシャベール 訳:櫻井義夫
    発行所:エー・アンド・ユー
    カトリック教会シトー派〈ル・トロネ修道院〉にて”建築の詩人”アルヴァロ・シザが展示を行うまでのドキュメント。コルビュジエがラ・トゥーレット修道院を設計する際に参考にしたという逸話もある約870年前につくられたル・トロネ修道院を、シザは自分の足で歩き回り、スケッチをし、空間を解き明かしていきます。その過程を推理小説のように楽しめ、臨場感は満点です。そして、シザがル・トロネで行った展示とは…。(KM)
  • 石巻の鐘楼 ふたたび建てる建築
    石巻の鐘楼 ふたたび建てる建築
    定価2,640円
    (本体2,400円+税10%)
    著者:長谷川豪
    写真:阪野貴也
    発行所:誠文堂新光社
    2012年にTOTOギャラリー・間にて開催された「長谷川豪展 スタディとリアル」で展示された鐘楼。展覧会終了後、解体され、東京から陸路トラックで石巻まで運ばれ、幼稚園の園庭に再建築されました。東日本大震災が起きた時、1年後の個展が決まっていた建築家である著者が考えた、幼稚園に鐘楼をプレゼントするというこのプロジェクト。記録写真と解説から、プロジェクトには実に多くの人々が関わっているということがわかり改めて驚かされます。現在、復興への希望の象徴としての願いが込められた鐘楼の鐘は、毎日園児たちによって鳴らされているそうです。(KM)
  • 猫の建築家
    猫の建築家
    定価2,200円
    (本体2,000円+税10%)
    著者:森博嗣
    画:佐久間真人
    発行所:光文社
    あるところに猫の建築家がいた。猫は日々考える。形とは何か、機能とは何か-自分は何をつくり出すべきか。繰り返される生の中で、猫の存在はとても小さい。でも、その小さきものを包む孤独な世界は、立ち向かい乗り越えるべきものではなく、許し、許され溶け合っていくもののはずだ。もしかしたら、一瞬だけでも「美」に出会えるかもしれない。(GM)
  • 文体練習
    文体練習
    定価3,738円
    (本体3,398円+税10%)
    著者:レーモン・クノー
    訳:朝比奈弘治
    発行所:朝日出版社
    この本は、映画にもなった『地下鉄のザジ』の作者であるフランスの小説家 レーモン・クノーの実験的な作品です。 一つの些細な出来事が99通りの異なる文体で描かれています。ページを進めるうちに新しい引き出しをひいていくような新鮮な感触。 この本には、言葉の持つ計り知れない愉しさが詰まっているようです。また、仲條正義氏による装丁や本文のこだわりと遊びのあるデザインによって、内容にぴったりな美しい本となっています。(HM)
  • RURAL STUDIO AT TWENTY
    RURAL STUDIO AT TWENTY
    定価5,280円
    (本体4,800円+税10%)
    著者:Andrew Freear, Elena Barthel, Andrea Oppenheimer Dean, Timothy Hursley
    発行所:Princeton Architectural Press
    輸入書籍のため仕入時期により価格が変動いたします。ご了承ください。
    アメリカの建築事務所ルーラル・スタジオの20年間の活動をまとめた書籍。
    地域のコミュニティに入り込み、徹底的な討議の上で建築設計を進めることで知られる彼らの作品を写真や図面に解説を交えて紹介しています。
    例えば、貧困層向け住宅の設計施工を自ら行い、建設資金は国や公共団体から調達するなど、建築デザインにとどまらず地域を巻き込む活動に建築の役割を気づかせてくれる1冊です。テキスト英語。(TY)
  • 建築家が建てた妻と娘のしあわせな家
    建築家が建てた妻と娘のしあわせな家
    定価1,760円
    (本体1,600円+税10%)
    著者:田中元子 写真:野寺治孝
    発行所:エクスナレッジ
    建築家の自邸を訪ね、その家で多くの時間を過ごす家族に「家」の話を伺います。建築家は出てきません。共に暮らす妻・娘の目線でその暮らしを伝えます。時には奇抜な家、超狭小な家でも愛情を持って手入れし、維持されている様子が伝わってきます。また、生活の仕方や家族のあり方の変化などさまざまなものが浮かび上がってきます。設計した夫・父の気配を感じながら暮らしを想像するのが楽しい。巨匠から新進気鋭まで建築家の自邸36軒を収録。気軽に楽しく読める本です。(KM)
  • アースダイバー
    アースダイバー
    定価1,980円
    (本体1,800円+税10%)
    著者:中沢新一
    発行所:講談社
    哲学者、思想家である中沢新一が縄文時代の地図をもとに独自の視点で語る東京論。
    新宿の起源や銀座の由来、縄文時代の岬に今ものこる神社や寺院があるなど、東京についての興味深い話は尽きない。学問的な正しさ、科学的な根拠よりも中沢氏が歩いて五感で感じたことや独自の論理でどんどんイメージが広がっていく。
    東京の街歩きや地形に興味をもつ入り口へと誘う1冊。(KS)
  • 木をかこう