100年の歴史を語る「TOTOミュージアム

インタビュー
TOTOミュージアム館長」/大出大

昨年8月、2017年のTOTO創立100周年に向けた記念事業として、北九州市小倉のTOTO本社に「TOTOミュージアム」がオープンしました。近代化産業遺産や建築設備技術遺産などに認定されたTOTOの歴史的な商品を収蔵、展示していた「TOTO歴史資料館」のコンテンツを引き継ぎ、さらに新しい展示物も公開。ショールームや研修センターなども集約した複合施設になっています。TOTOの沿革や、日本の水まわりの変遷、TOTOの歴代商品なども紹介しています。ミュージアムの見どころを、館長の大出大さんに聞きます。

聞き手・まとめ/伏見唯
写真/川辺明伸

「水滴」と
「緑豊かな大地」を
模したエコ建築

——「TOTOミュージアム」は、かなり変わった形状をした建築ですが、どういったコンセプトですか。

大出 2棟ありますが、正面左手の湾曲した建物のデザインは、水滴をイメージしたものです。TOTOは、水洗便器の開発を原点として創立し、それ以来、ほとんどが水まわり、つまり水にかかわる仕事をしてきましたので、「水滴」をデザインモチーフにしています。右手の4階建ての建物では、「緑豊かな大地」をイメージしています。TOTOは、これからの地球環境のことを考えていかなくてはならないと思っているので、地球の「大地」を、もうひとつのデザインモチーフにしました。全体としては、「大地を潤す水」ということで、TOTOが水まわりの仕事を通して、地球の豊かな環境づくりに貢献したい、というメッセージを表現しています。こうしたメッセージを共有し、梓設計さんがデザインをまとめてくださいました。

——形状だけでなく、環境を配慮した技術や手法を用いた建築ですね。

大出 創立100周年の記念事業ですから、梓設計さんの提案もあり、100種類の技術や手法を採用しています。太陽光発電や高気密高断熱などの一般的なものもありますが、特殊なものとしては、ガラスの塔によって太陽光から集熱した暖気を建物の地下の蓄熱槽に送るソーラーチムニーがあります。このソーラーチムニーで暖房をまかなっています。また、その蓄熱材に衛生陶器の破片を再利用したり、中庭に敷く玉砂利として、アルミナという陶器の原料を砕くための素材を再利用しているところなど、TOTOらしい環境配慮かもしれません。アルミナは、非常に重くて硬い素材ですから、原料と一緒にかきまぜることによって、原料を砕くことができるのですが、何回も何回も使っていると、アルミナ自体も次第に小さく丸くなって、最終的には使えなくなります。その小さな丸い石がきれいなんです。本当は、もっとたくさん使いたかったのですが、3年くらいかけても、残念ながら1階の中庭分くらいしか貯まりませんでした(笑)。

>> 「TOTOミュージアム」のホームページ
>> 「TOTOミュージアム」の見取り図

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