TOTOの創立

「TOTOミュージアム」館長
大出 大(談)

 TOTOは、明治初期に設立された森村組という貿易会社をルーツとしています。森村組は海外貿易において陶器に注目し、1904年に日本陶器合名会社(現・ノリタケカンパニーリミテド)を名古屋に創業して、日本製の食器などを、欧米に輸出していました。TOTOの直接的な前身は、その日本陶器の工場構内につくられた製陶研究所(12年設立)です。
 その製陶研究所において、日本陶器の初代社長だった大倉和親が、父親の大倉孫兵衛とともに、腰掛式水洗便器を開発したのが、TOTOの原点になります。当時、日本では下水道がほとんど整備されてなく、衛生陶器も日本にはほぼない時代だったので、水洗便器や衛生陶器の開発や研究に対して、疑問の声もあったようです。そんななか、大倉親子は、水洗便器がすでに普及していたヨーロッパを視察した際、「近い将来、日本でも水洗便器が必要になる」と感じ、私財を投じて研究所を設立したそうですから、勇気ある決断だったと思います。2年の歳月をかけ、17,280余種もの試作を経て、14年に国産初の腰掛式水洗便器がようやく完成しました。
 その開発をきっかけとして、衛生陶器の製造をさらに本格的に展開するため、新しい工場の場所を探した結果、北九州の小倉の地が選ばれました。
 天草陶石や朝鮮カオリンなどの衛生陶器の原料や、燃料の石炭を入手しやすく、国際貿易港の門司港に近い、海外にも展開しやすい場所として、小倉の地が選ばれました。当時から海外市場を意識していたため、「東洋陶器」という社名で17年に創立しました。

>> 「TOTOミュージアム」のホームページ
>> 「TOTOミュージアム」の見取り図

  • 前へ
  • 4/4
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら