まず、入り口不明の書斎から説明すると、テラスに立ちドアを開け穴を潜り、ハシゴで下りる。なお、図面にはハシゴが描かれていない。居間問題は図面のとおりで、各部屋からいったん外に出て、テラスを歩いてから入る。
 どうしてこんな珍しい平面計画をしたのだろうか。
 満智子さんの記憶によれば、最初は木造で考えていたが、途中で鉄筋コンクリートに変わり、それも当初は、「ムクのコンクリートを固まりで打って、各部屋を削ってつくりたい」と言っていた。中国の乾燥した黄土地帯やトルコのカッパドキアなどに例のある穴居をコンクリートでつくろうというのである。
 コンクリートの固まりの上辺を地表とし、各部屋から昇っていくと、ポコポコと地表に顔の出るイメージだったともいう。モグラの家。
 この話をうかがってやっとわかったが、書斎はモグラの家のイメージを忠実に伝えている。


>> 「三澤邸」の平面図を見る

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