建築について述べよう。出かける前、1、2、3階と平面図を見ても、すぐには全体像がつかめなかった。どの階段(スロープ)を昇ればどの部屋に入るのか、各部屋の相互関係が複雑で、複雑だけならいいが、加えて相互関係が怪奇でなんとも判然としない。たとえば書斎、いったいどこから入るのか。
あるいは居間、どう見ても独立した部屋にしか思えないが、家の中核となるべき居間に家族はわざわざ露天のテラスを通りガラス戸を引いて集まるのか。当時、世は家族団欒のため居間中心プランが全盛をきわめ、食堂も台所も居間と一体化した“LDK”平面が先駆的な建築家のあいだでは定石化していたというのに、この家ときたら肝所の居間は独立、というか孤立しているではないか。
現地に出かけ、やっとわかった。どうして図面からはわかりにくいかもわかった。
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