ケーススタディ3

その2
壁画のような襖絵

 一方で、室内の襖絵を描いた島田由子さんは、淡い色彩とやわらかなタッチで草花や幾何学模様を描く襖絵師で、こちらは伝統とのかかわりが想像しやすい。「以前から、絵画がつくり出す空間に興味がありました」とは丸山さんの言葉。壁ではなく襖に絵を描いたのは、固定されることなく、季節や気分に応じて表裏が選べ、場所も交換できる点に利を感じたためだという。引き手は片側しか付いていないので、実際に表裏を変えるかどうかはわからないが、ロフトに建て込まれた襖絵は、リビング側がツタの実、ロフト側は市松模様と、大きく異なる表現である。また、この襖は、リビングから見ると位置が高く、足元には間接照明が入っている。どこか壁画のような性格も帯びているように見える点は、襖の既成概念を操作したものとも受け取れる。


>> 「本棟の家」の平面図を見る
>> 「本棟の家」の断面図を見る

  • 前へ
  • 5/6
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら