
全体性をつくる
配置、設え、
そして意匠
そのこだわりは、宅内部に入るとはっきりわかる。大きな空間を確保したいリビングは屋根まで吹抜けに、居室として天井高を確保したい寝室は、その下の予備室を半地下として中2階に、比較的天井高が低くてもよいロフトは2階に配置されている。屋根優先で内部が決定されているのだ。加えて、中2階の寝室は欄間を格子に、ロフトは鴨居の上に隙間をつくり、1階の寝室には天井もない。立体的な部屋配置とその設えにより、屋根の存在がより強く意識される。
加えてもう一点。この住宅には、柱、梁、建具といった、解体した主屋の部材が多く転用されている。たとえば、1階の寝室入り口にある柱はかつての大黒柱である。新しい木材も、古材の色味に合わせて塗装が施されており、意匠の決定にかつての主屋が参加している。本棟造から選びとった特徴を強調する部屋配置と設え、そしてかつての主屋との連続性を感じさせる意匠が、「本棟の家」の全体を決めている。
そして、ここからがこの住宅のおもしろいところ。雀が飛び立つように、というと雀おどしにこじつけたようだが、じつに軽快に、自由に、その部分を展開しはじめる。なかでも懸魚、襖、下見板の部分はとくに目をひくものであった。
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