ケーススタディ1

金沢町家の
調査

 そもそも、なぜアトリエ・ワンは町家の再解釈に取り組むようになったのか。話は07年にさかのぼる。金沢21世紀美術館にて、アトリエ・ワンが独自の視点をもって金沢の街を再発見する調査プロジェクトが始動したのである。このとき、1000軒以上もの町家を調査。そこで調査されたものは、重要伝統的建造物群保存地区にあるような文化財の町家ではなく、時間を経るなかで、時代に合わせて大きく変形した町家だったという。たとえば、車の誕生により1階を駐車場にした町家、サラリーマンの誕生により店を閉じて1階の店舗を部屋に改造した町家などである。「20世紀という大きな時代の変化のなかで、町家のエッセンスに後ろ髪を引かれながら、一生懸命町家でありつづけようとする姿をたくさん見てきました。それは、すごくおもしろい経験だった」と塚本さん。
 その経験を通じて、町家の理想とともに、多くの現実も身に染みて感じたことだろう。過去の歴史的な町家の復興ではなく、現実と真っ正面から向き合って町家を再解釈しようとする思考が醸成されていったことは、想像に難くない。


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