
将来を見すえた設計
Eurekaと三浦さんは設計にあたり、小山の妻・常子さん、つまり現在の住まい手の母に聞き取り調査を行い、当時の設計の要点や生田のこだわりについて記録を残している。それによると、まず設計の要点は、工事費をかけすぎず、平屋ばかりの周辺環境に配慮して、面積を最小限とすること。これは、将来の増築も見込んだものだという。屋根の形は生田のこだわりだったようで、書斎の上は2階をつくらずに、方形屋根をそのままの勾配で葺き下ろしている。なるほど、道路側の立面はずいぶん低い。室内は基本的に合板張りだが、これは後で好きな仕上げに、と生田から説明を受けたそうだ。周辺環境に気を配りつつ、将来を見すえた設計態度がうかがわれる。コンクリートブロックを積み、木造と切り離して水まわりをつくっているのも、いつか設備を新しくしたとき、形や大きさの変更がしやすいように、との配慮であろう。それを示すように、1975年から76年にかけて三畳の和室は八畳に、80年には書斎と玄関が増築された。今回増築ができたのも、こうした生田の配慮と無縁ではないだろう。





