特集/その4

現在の環境に
適合させる

 ふたつ目の条件、敷地全体の環境を整備したことの意味は非常に大きい。オリジナルの竣工時とは土地の形状、周囲の建物などが変わっている。今の環境に最適なものをつくること。まず別邸東側のレベルが低く、道路からの浸水が建物を傷めていたため土留めをする。背中を向けていた主屋(設計者は不詳)との視線をつくるため、主屋の浴室を移動させ、そのダイニングを別邸側に開く。そして2棟間に繁っていた笹を先ほどの土留めに移し、そこを芝生敷きに。同様に樹木を南東側隣地の目隠しのために移植。その結果、主屋の南側の庭、主屋、2棟間の庭、別邸、別邸東側の土留めへと空間がつながり、すばらしい奥行きを生んでいる。逆に別邸からは、主屋の平屋の屋根越しに南側の森が望める。
 周辺の道路幅がきわめて狭いため大木は運べず、基本的に敷地内部で木を移設することになる。これらの工事は年若い地元の植木職人が行った。和洋さまざまな樹種が入り混じった軽井沢の植生を知る彼らは、それを巧みに景色に溶け込ませた。「この環境全部で『OKA MASAKAZU HOUSE』です」という元良さんの言葉が印象に残る。


「OKA MASAKAZU HOUSE」の改修前の姿を見る
「OKA MASAKAZU HOUSE」のオリジナル原図を見る
「OKA MASAKAZU HOUSE」の平面図・配置図と改修箇所を見る
「OKA MASAKAZU HOUSE」の断面図と改修箇所(2009年)を見る

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Movie 「 OKA MASAKAZU HOUSE 」

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