あの緑色の屋根の家
それまでの紆余曲折に対し、「ここからのスピード感はすごかった。のっかっちゃった感じ」と奥さま。由香さんによれば「矛盾したことを言わず理屈で納得してくださるタイプ」というご夫妻の性格も幸いし、設計はスムーズに進んだ。第1案からは、構造計算により梁成やスラブ厚などの寸法が少し変更された程度。その後の打ち合わせは、1階の水まわりや収納の詰めに終始した。シンプルで力強い構成の実現に向け、建築家と建主が互いに協力していく様子が目に浮かぶ。
色の決定方法も興味深い。外観を印象づける屋根の緑色は、さまざまな案を経て、最初のイメージに戻ったそうだ。この家は自分たちだけのものではなく、街のアイコンになる。公園を訪れた子どもたちや親子連れが、あそこに緑の屋根の家があったねと記憶のなかにとどめてくれるように。駒田さんたちとご夫妻のあいだに、そんな意識が共有されていった。
白い外壁はそのまままわり込んで内壁となる。対比的に「箱」内部はダークブラウン。その色決めは、建物の形が見えてきたところで10パターンほどのCGと模型を現場に持ち込んで検討された。
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