特集2/プロセススタディ

さまざまな試論から、突如、定着へ

 ここで小さなハプニングがあった。娘さんが風邪を引いたため、打ち合わせが2週間ほど延びたのだ。そのあいだに駒田さんたちは考えはじめた。「この斜めの形にする必然性はない」と。
 こうして提示された最初の案を、ご夫妻はひと目で気に入った。模型を見た奥さまの感想は「なにこれ、かわいい!」。要望はほとんどが取り入れられ、小さな家だからと妥協したところは見当たらない。ご主人も、半分あきらめていた書斎コーナーが実現したことに感激したという。
 結局、それはほとんど変わらずに建てられることとなった。5.7m角の外形、基本グリッド、屋根の形状などはまったく同じだ。「最初の案でも、『これでお願いします』といわれたら、『はい、そうしましょう』といえるものを出す」と剛司さん。とはいえ、これほど完成形に近いプランができることは10軒に1軒くらいと打ち明けた。


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Movie 「HAT」

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