目で清潔を
感じてもらう
——では製品開発において、一番力を入れたのはどこですか。
- 村田 まずは「きれい除菌水」を噴霧するタイミングです。お客さまが水栓から離れる時間、待っている次の人が手を洗うまでの時間を考え、使う人がストレスなく手を洗えるよう検討しました。また「きれい除菌水」は、噴霧口にお客さまが手を差し出すと瞬時に止まるよう設計されています。そのうえで青色のLEDの光やノズルからの噴霧の形、角度などの細部にまでこだわってつくっています。「なんかやってるな、きれいにしてるんじゃないかな」と、その清潔感が視覚を通じて感じられるようにしたいなと思いました。
——この商品の導入先としては、どういったところを想定していますか。
- 村田 ひとつは街なかの店舗です。洗面器の排水口まわりの清掃まではなかなか行き届かないこともあるので、人手の少ない小規模の商業施設、たとえばアルバイトの方がおもにトイレの清掃も行っているような飲食店などを想定しています。もうひとつは、つねに清潔であることを求められる場所、とくに清潔意識の高い病院などですね。
——今回の開発で思い出すエピソードはありますか。
- 村田
「きれい除菌水」の効果が出ているかどうかをわかりやすくするために、データをとっている期間は、オフィスの清掃の方にそのトイレの洗面器は掃除をしないようにお願いします。でも清掃の方は、すぐにそれを忘れて、苦労を台なしにするかのように掃除してしまうんですよ。何回も(笑)。
——掃除されたときはわかるのですか。
- 村田 わかりますね。通常であれば、3、4日すると汚れが出てきますが、明らかにピカッときれいになっていて……。それで「掃除しちゃったでしょ?」と聞いたら「いいえ」とそ知らぬ顔(笑)。そんなはずないと思いましたが、清掃の方も毎日の習慣ですのでしかたがない。それで、実験している洗面器に「掃除しないでください」と大きな貼紙をしました。最後は洗面台のボウルに直接油性ペンで書きましたね(笑)。
——古田さんと村田さんはかつて一緒にお仕事をされていたそうですね。
- 古田 私が現在の小倉工場に移る前、茅ヶ崎の研究所で半年間ほど一緒でした。
- 村田 10年くらい前ですね。
- 古田 一緒にマイクロ波による小便器使用の検知システムを開発していました。
——研究所では「きれい除菌水」には携わらなかったんですか。
- 古田 直接は携わっていませんが、「きれい除菌水」は私が異動した後の研究所の人たちが開発して、それを事業部の私たち、ものづくり担当が製品化していくという形で進んできています。
- 村田 こちらで製品化を進めたら、それをまた研究所で検証評価してもらう。「シーズ」を開発する研究者と「ニーズ」を知る商品開発の担当者が密接に連携をとりながら、ひとつの商品をつくっていくんですね。
- 古田 そうやって初めて、お客さまに受け入れられるものが出来上がるんです。
——なるほど、そういうことなんですね。今日は、家庭だけでなく、パブリックの場でも清潔と快適を追求するTOTO、そしてその技術の粋である「きれい除菌水」の新たな可能性を語っていただきました。
>> 「『きれい除菌水』の仕組み」の図を見る
>> 「大幅な節水を実現」のグラフを見る
>> 「排水口のきれいが長持ち」の図を見る





