「エコー」のある建築

藤原 後で気づいたのですが、5組の活動場所は偶然、みんな日本からは遠い端っこ、アジアのエッジにあるんです。彼らは日本の若手建築家と同様に、SANAAやアトリエ・ワンの影響を受けていますが、その受けとめ方が独特です。距離が離れていることが独自の応答をつくったんだと感じました。
ビライ そうですね。歴史も勉強しているけれど、ちゃんと場所性も感じさせる。ただ真似をするのではなく、藤原さんがおっしゃる「応答」、英語で言えば「エコー」のある建築であり、建築に対する対話がきちんと行われていると思います。
藤原 僕自身、今回彼らの建築を直接見てまわれて本当によかったと思います。同時代の建築の現れ方にこんなにも多様な可能性があることを知って勇気が湧いたし、自分もまだまだやることがたくさんあると感じ、めちゃくちゃ建築をつくりたくなりました(笑)。
 この展覧会を通じて、どれだけ多くの人が僕と同じようにショックを受け、建築を目撃しに旅に出てくれるかが重要だと思っています。すぐれた建築を見ることは、その建築を通じて歴史や思想を知ることでもあります。強い建築とは、特別なメディアなんだと思います。若い人にはぜひ、建築を実際に見に行って、建築を通じて歴史や都市のすごさに衝撃を受けてほしいですね。


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