
「架構体がすべて」と篠崎さん。菊竹清訓氏はデザインを3つの段階に分け、「か・かた・かたち」の方法論を提示した。篠崎さんは、その「かた」をどうつくるかが重要なテーマだという。まず機能を捨てて架構体をつくる。それが建築の永続性を見せられるまで昇華され、抽象化されれば「かたち」になる。そこで初めて自由な機能を背負わせる。この住宅でいえば、テーブルを置けばダイニングになり、ラグを敷けばリビングになるといった、家が本来もつ自由な居場所を提供するための架構体がイメージされている。
それを担うのがY字形の掘立て柱である。その存在が「House H」の印象を決定付ける。フローリングの床からいきなり立ち上がる掘立て柱は、原始の小屋を思わせるような素朴さをたたえている。しかしそれは途中で分岐して二股に開き、水平・垂直を原則とする伝統的な木造架構とはまったく違ったものになる。
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