奈良県と大阪府の県境に連なる生駒山地の主峰・生駒山の中腹には、西側の大阪平野の絶景を見下ろすことができる住宅地がある。大正3(1914)年の大阪電気軌道(現・近鉄奈良線)の開通に伴い、大正から昭和にかけて、沿線の生駒山周辺にはいくつもの住宅地が開発されてきた。「石切の住居」は、そうした住宅地のひとつである石切に立ち、周囲には、古い住宅地とともに樹齢を重ねた木々や旧家となじみながら、斜面を蛇行する道や、急な坂、階段があり、さらに山すその住宅の瓦屋根越しに眼下に広がる大阪平野の眺望が織りなして、豊かなランドスケープが出来上がっている。