特集2/座談会

スタッフが案をつくる

——青木さんの師匠にあたる磯崎新さんから、青木さんのスタッフへとつながっていくものはありますか。

青木 磯崎さんの師匠は丹下健三さんですね。丹下さん、磯崎さんとつながってくるのは、模型というものの存在が大きいと思う。磯崎さんも最終的な判断に模型を使うことが多かった。僕たちはなるべく大きい模型をつくって、それを見てもらった。だから建築そのものに関する考えは違っても、建築の判断を模型でするという伝統があると思います。
 つながっていないほうはもっと簡単で(笑)、磯崎さんは全部自分で決める人だから、スタッフがアイデアを出せないんです。僕は入ったときにそれがわからなくて、僕が描いたスケッチを机に置くんですが、それを見てくれないで横に置いて、自分で描きはじめる。つまり磯崎さんがその場で描くことがすべての出発点になる。それをどう解釈していくのかが僕の仕事だけれど、結局、事務所にいた7年間、アイデアは出せないものと思っていた。これはすごい問題で、やはりスタッフが考えて、そのスタッフの案に対して僕がもっといい案を考えて、とやっていかない限り、ダメだなと僕は思った。だからうちの事務所では、磯崎さんを反面教師として、案はスタッフがつくらなくてはいけないということにしました。
加藤 それはスタッフのことを考えてですか。
青木 それが半分。後半分は、そのほうがいい案ができるだろうと思ったから。僕が楽になるわけではないですよ。案を考えたときに、ボスのほうがいい案を考えるんだなというくやしさがない限りダメだし、うちにいる意味がないじゃないですか。

——青木さんは独立した人の作品をご覧になりますか。

青木 オープンハウスなどは基本的に行きたいと思っています。以前はうちで設計した建物ができるとOBのみんなにも見てもらい、その後飲みに行っていろいろ話をしました。去年は新年会をやりましたが、けっこう集まったよね。
村山 全部で30人くらい。OBと現役が半々という感じでした。
青木 それぞれに自分のやっていることを発表してもらったら、午後3時から始めて夜中過ぎまでかかった。うちはみんなバラバラで仕事をしているから、仲が悪くならないよね。むしろOBになっても、「つらかったねー」という共通した感慨がある(笑)。
  • 前へ
  • 6/7
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら