特集2/座談会

設計の仕事を続ける覚悟

——青木事務所に入所させる基準はありますか。

青木 どこも同じだと思いますが、まずポートフォリオを送ってもらう。それを見て可能性があると思う人には会うんですが、それがまずすごく少ないです。年間3桁くらいの人からアプライがあって、そのうち会う人は1桁ですね。そこで面接をして、まだ可能性があると思ったら、1カ月間アルバイトをしてもらう。そこでまただいぶ減ります。
 小さい事務所だから、うまく溶け込めるか、ここに合うかということも大事で、合うのは一生懸命に設計そのものにのめり込める人だと思う。やはり設計していれば深みに入ってしまうわけです。とにかくねちっこく、最後まで考え抜くことがふつうにできそうな人をとっているようです。
 でもたとえば、一緒にクライアントのところへ行くとき、1分でも遅れたらその場でクビです。僕は時間を守るのは最低限のことだと思うから。
村山 ある人が言うには、青木事務所は一芸入試みたいなものだと。一芸に秀でている人ばかりで、平均的に優秀なやつはいないと。
青木 ああ、それはそうだ。
村山 自分から途中で辞めるという人はいませんね。
青木 うちで働いても4年後には仕事がなくなる。その時点でどちらにせよクビになるわけだから失業する。設計というのはそこから初めて仕事ができるのであって、ベースは失業状態(笑)。その状態をずっとやっていく覚悟がありますか、ということですね。失業はいやだという人は、違う会社に入ったり、違う仕事をしたほうがいい。でもその覚悟があれば、うちの4年間を有意義にすごせると思うんです。
  • 前へ
  • 7/7
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら