特集2/座談会

案を説明する機会は与えない

——青木事務所を目指したきっかけはなんでしたか。

村山 大学院の授業で青木さんのことを調べるという課題があって(笑)、青木さんのテキストをすべて、3週間くらい読みつづけたらすごくおもしろかった。また、ちょうど乾久美子さんや永山祐子さんが魅力的なデビュー作を発表された頃で、ふたりとも青木事務所の出身だった。僕は関西にいたから簡単に会えないし、情報も入ってこないので、存在を知ってもらおうと、青木さんが審査員を務めるコンペにはとにかく応募しました。全然、引っかからないんですが、ポートフォリオを送ったときは「見たことがあるよ」と言ってもらえた。なんとかもぐり込めましたが、最初は大変でした。
青木 大変だったかもね。価値観が学校とは全然違って、急に本番という感じだもの。ここでの仕事は、「じゃあ、考えて」というスタートは学校と同じだけれど、案をもってきても、ほとんど図面を見ないで、模型を一瞬見て「ダメ」とか。なんでこうやったとか、説明の機会はないし、説明を始める人もいるけれど、「そんなこと聞いてない」と。
 良いか悪いかしかありません。僕はそれぞれの人の裏側のそれぞれの物語には興味がない。たとえば村山君の人生観を聞いても、精神分析みたいにしかならないからいやなんです。打ち合わせで「これはおもしろそうだね。どうやったら、もっとおもしろくなるだろう」という話はしますが、見てわからなかったらダメですね。
村山 よく言うのは、青木さんがつくる建築は、目に見えないことをやっていると。目に見えるディテールがきれいだとかいうゴールではなくて、その空間の質が重要なんですね。それは打ち合わせや模型をつくる段階から、そういう質になるかどうかを青木さんは見ているのだと思います
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