特集6/ケーススタディ

共用部にもひとりになれる場を

 一方、他人と適度な距離感が保てるよう、とくに共用スペースの設計には気を配ったと井上さんは振り返る。
「かなり広いぜいたくなスペースがとれたので、のっぺりした空間にならないよう、段差をつけて視線をずらしたり、裏側にちょっとひとりでいられるコーナーを設けるなどして、入居者が自分で居場所を選びやすいよう、工夫しました。メリハリがあり、かつ入居者が滞在しやすい空間を意識してつくっています」
 以前、一度だけ共用部を通って各個室に行くプランを採用したことがあったが、評判は今ひとつだったという。「誰とも話したくないこともあるので、それだとつらい。ここでも、あえてエントランスと共用ラウンジのあいだに壁を立て、かつ中のにぎわいはほどよく感じられるよう、扉をガラスにしました」と井上さん。
 家具・家電や備品が充実しており、トランクひとつで手軽に引っ越しできる点も魅力。IHクッキングヒーターを完備したオール電化キッチンには炊飯器や電子レンジなどが複数台並び、鍋や食器からカトラリーまでが揃う。広いキッチンで作業しやすく、ひとり1品つくって持ち寄れば食生活が豊かになるため、自炊や弁当づくりに目覚める人も多いようだ。
 さらに、小さなシェアハウスだと共用スペースの掃除やゴミ出しは当番制というところも多いが、ここでは週5日、専門業者が清掃してくれるため、当番はなく、水まわりの掃除をいっさいする必要がない。


>>「シェアプレイス田園調布南」の平面図を見る

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