特集6/ケーススタディ

人数が質を決定する

 それにしても、水まわりが共同であるわりに賃料が高いのに、なぜここまで高い人気なのか。理由は話を聞くうちに、徐々にわかってくる。
 まず重要なポイントは、通常のシェアハウスより規模が大きいことだろう。
「最初は社内で、入居者のなかにいやな感じの人がいたとして、その人が出て行ってくれなければ、ほかの人が出て行ってしまうのではないかという議論があったのですが、これだけの規模や空間のキャパシティがあると、たとえいやな人がいても付き合わずにすむ。規模や人数は微妙なもので、量が質を決定するようなところがあると思います」と田原さん。企画・設計にあたったリビタ、コンサルティング部の井上聡子さんも、「これだけ大型になると、食器を洗わないなど、ルールを守らない人がいたとして、注意してもあらたまらないと、みなだんだん相手にしなくなり、かえって当人が居づらくなるところがありますね」と語る。
 むろん、その人が共同生活に向いているかどうかの判断は入居前のコミュニケーションでわかる場合もある。モラルや気遣いができるかなどは重要な基準で、物件案内の際も仲介業者を通さず、必ずリビタの社員が対応する。
 常駐の管理人はいないが、物件ごとに専任の管理担当スタッフがおり、こまめに巡回したり、入居者とメールなどで密に連絡をとりあっているため、あいだに入ってスムーズに対応でき、問題が大きく広がらないうちに芽を摘むことができる。また、後から入った人がコミュニティに入りやすいよう、新しい入居者をメーリングリストで紹介したり、新歓イベントも定期的に開く。専任スタッフは73人全員の顔と名前を覚えているそうだ。当初は少々問題があっても、集団生活を送るうちにわがふりを直し、社会性が備わってくる人も少なくないらしい。


>>「シェアプレイス田園調布南」の平面図を見る

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