特集6/ケーススタディ

総工費は新築の3分の1

 まず内部をひととおり見学したが、大規模マンションのスケールメリットと同様で、73戸という規模だけに、共用部分の広さと充実ぶりは申し分ない。エントランス正面にあるガラス扉を開けると、そこは73人分のLDKとなる「ラウンジ」。大空間の中央に料理教室のようなオープンキッチンがあり、ダイニングスペースの外にはテラス席が続き、一角には畳敷きの小上がりやスタディスペース、さらに奥には多摩川の土手になぞらえた「DOTE」と呼ばれるゴロ寝スペースもある。
 一方、個室は至ってシンプルで、広さは平均約13㎡、内装は白くペイントした壁にPタイルの床。机・椅子・ベッド・小型冷蔵庫は備え付けだが、水まわりは1室を除いていっさいない。各フロアには共用のトイレとシャワールームがあるが、バスタブは女性専用フロアの3階に1カ所あるのみ。
 リノベーションらしさを出し、既存の寮のデスクを修繕して各個室に配したり、ラウンジにも既存の照明器具などを再利用しており、どことなくレトロな雰囲気だ。
 家賃は共益費込み(光熱費とインターネット料金を含む)で月約8万円。近隣のワンルームマンションの相場と同等だが、現在も満室で、空き室が出てもほどなく埋まる人気ぶり。これだけの高稼働率を保ち、しかも、かかった費用は同等規模のマンションを新築した場合の3分の1程度ですんだというから、事業としては大成功にちがいない。
 契約は1年単位の定期賃貸借契約で、だいたい1~2年で退去する人が大半だそうだ。個室の内装が簡素で水まわりもないため、退去後のリフォーム費用がほとんどかからないのも、貸し主にはうれしい点だという。


>>「シェアプレイス田園調布南」の平面図を見る

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