特集6/ケーススタディ

独身寮ゆえの特殊性

菱重エステート常務取締役の田原仁さんによれば、当初は取り壊して新築物件を建てる計画だったが、資金上の制約から改修に切り替えることになったとのこと。しかし、独身寮は個室に水まわりがなく、食堂や大浴場などの共用スペースが広いという特殊な間取りであることから、通常のワンルームマンションとして再生するには配管からやり直さねばならず、現実的ではない。検討を重ねる段階で、リビタが独身寮を転用した事例があることを知り、物件を見学したのが発端だという。
「新築、リフォームにかかわらず、単なるワンルームやファミリータイプのマンションをつくっても、新しいうちはいいが、古くなると家賃も下がり、空き室も増える。そうならないためには物件に特色をもたせることがだいじで、これまでも老人介護施設や免震・防災・エコを謳ったアパートなど、いろいろつくってきました。そういう一例として、ここではシェア型賃貸という形態を選択したわけです」
 ただし、事前に建物調査を行ったところ、リノベーションの宿命ともいうべき予想外の問題が見つかった。耐震性が不十分であることが発覚したばかりか、一部、アスベストの除去も必要になり、その分、費用がかさんだそうだ。耐震補強については、炭素繊維形成板や鉄骨ブレースはコスト高になるため、一部の居室をつぶし、開口部を塞いで鉄筋コンクリートを増打ちして壁量を増やすなどして、コストとのバランスをみながら基準のis値(耐震指標)0.6以上を確保している。


>>「シェアプレイス田園調布南」の平面図を見る

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