特集6/ケーススタディ

ゆるやかなつながりを求めて

「シェアプレイス」の入居者像からうかがえるのは、さほど親密な付き合いを望んでいるわけではなく、隣に誰が住んでいるかわからないワンルームマンションよりは安心だと考える普通の人たち。どうせ住むなら普段は知りあえない職種の人と知りあえるチャンスもあるし、1年単位で気軽に住めるなら独身時代のうちに一度は住んでみたい、というライトな感覚で選んでいる人が多いことだ。
 田原さんはこう語る。「僕たちが若い頃は職場が共同体で、みんなで社員旅行に行ったりしていましたが、今はそういう場でもないし、ワンルームマンションでは近所付き合いもない。それより利害関係なく付き合えて、付き合いたくなければ付き合わなくてもいい、そういうゆるやかな交流が自然にできる場として、家と職場以外のサードプレイスを求める人がいるということです」。井上さんも「今の若い世代は車をもたないなど、物の所有には執着がない半面、距離感を保ったうえでの人のつながりを求める人が増えていますね」と分析する。
「シェアプレイス」にはリビタが時間をかけて蓄積してきた、地味だが住人の居心地を大きく左右するノウハウが詰まっている。シェアハウスが今後、住宅のひとつの選択肢として定着するには、ソフトとハードの両面から入念に計画したこの手の良質な物件が、できるだけ多く供給される必要があるにちがいない。


>>「シェアプレイス田園調布南」の平面図を見る

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