特集5/ケーススタディ

個室と共用部のつながりをデザインする

LT城西」は、13の個室とリビング・水まわりなどの共用部をもつ、まだ珍しい新築のシェアハウスだ。そしてその空間は、3640㎜グリッドの平面、2.5層の断面からなるきわめて特徴的なもの。木造2階建てという条件のなかで、経済的なスパンにより最大限の容積を確保している。0.5層分の高さは、1階・2階リビングの吹抜け、ふたつの個室の天井高などに生かされ、また2.5階の個室に至る「距離」をつくる。それは高度なパズルを解いて得られたプロトタイプのように見えてくる。
「シェアハウスの主流はリノベーションですから、ここでは建築家によるプロトタイプを実際につくりたかった。新築にしかできない、シェアハウスに本当に適した建築とするのが目標でした。それは個室と共用部のつながり方のデザインです。部屋によって共用部との距離が違えば、選択性もあるし快適なはず。キッチンで料理をしている人もいれば、リビングでテレビを見ている人、2階で本を読んでいる人もいる。人と一緒にいることを強要するような共用部は息苦しいから、好き勝手に使えるような関係性にしたい。そこでできるだけボリュームを大きくとって、天井高が変化し、つながると同時に区切られている空間をつくりました」
 実際、その共用部に身を置くと、ひとつの大きな屋根の下にたたずむ安らぎと、空間の質が徐々に移ろっていく心地よさを感じる。それは、個室のドアが直接見えることなく、奥まったところにあるのも大きな要因となっているようだ。
「個室の前にある小さいアルコーブ空間は重要です。共用部に面してドアが直接開くとしたら、プライバシーも保てません。そこに視線のクッションを入れました。入居者にも好評です。それぞれがひとりになりたいときはなれるし、一緒にいるときは楽しくやれるというのをすごく考えました」
「共用部で人とソーシャルに交わるには、自分の居場所が確保されていることが重要です。個室はホッとできるところであってほしい。東京のシェアハウスでは6畳から6.5畳くらいの個室が多いですが、物を置きたいという要望や名古屋の住宅事情も考えて、8畳のスペースをとりました。部屋を見せてもらうと、みんなおしゃれに住んでいます」


>> 「LT城西」の平面図を見る
>> 「LT城西」のa-a’断面図を見る

  • 前へ
  • 2/5
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data
Movie 「LT城西」

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら