特集3/ケーススタディ

誰と、シェアするのか

 住み手7人の内訳は、運営者1人と応募して集まった6人(1人はゲスト)。もともとの友人同士が集まったわけではなく、知人の紹介で住み手は決まっていったという。シェアハウスには、友人同士でシェアする場合と、まったくの他人同士でシェアする場合があるが、今回はそのどちらでもない、中間のような形。運営者のひとりは「一緒に住む人はこちらも選びたいので、知人の紹介だと安心です。ただ、直接の知り合いではなかったので、面接をしました。質問内容は、お酒は飲めますか、とか(笑)」と語る。持続的な事業性を考えると、運営者の友人ばかりを居住者とするのは難しいので、気の合う住み手を探すことが、シェアハウスを豊かにする最初の鍵となるのだろう。「酒の徳孤ならず、必ず隣あり」とも言うし、確かにお酒も大切。ただ、もし正式な公募をしていたら、居住者の条件に「お酒が飲めること」などと明記するのは、憚られたにちがいない。
 篠原聡子さんは「正式に公募して、不特定多数の希望者のなかから運営側が望むような住み手を見つけるには、募集のシステムにいろいろな工夫が必要で、かなり手間がかかります。そうしたシステマチックなシェアハウスもありますが、今回のような人づてに住民募集をしていくシェアハウスもあります」と、ひとえに「シェアハウス」といっても、その実態はさまざまであると語る。確かに、シェアする人の集まり方や親密度によっても、シェアハウスはまったく異なる様相になると思われる。居住者同士の交流を求めて、気心の知れた人が集まったシェアハウスであれば、その共同体は家族に近い形となり、規則や契約に縛られない住まい方ができるかもしれない。一方、まったく知らない他人同士が、利便性、経済性を重視して集まったシェアハウスであれば、集住のためのさまざまな規則が必要になってくることも多いだろう。
「誰と、シェアするのか」という選択は、シェアハウスのはじまりであるとともに、その家全体の性格を大きく決めていくシェアハウスの骨格である。
 ただ、もともとの知り合いが集まらなくとも、長屋の井戸端のように、集住するなかで隣人とのあいだに交流が自然と芽生えていくこともある。「誰と、シェアするのか」ということと同じく、「どのように、シェアするのか」ということも、シェアハウスの色合いを決めていくだろう。


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