特集4/ケーススタディ

矢車状の
配置と
平面

 2階建て、延床面積45坪。別荘としては規模が大きいが、全体の構成はきわめて明快である。
 2階の平面図を見ると一目瞭然、3.64m角、すなわち二間四方、8畳間の空間単位を91㎝ずつずらしながら4つ、矢車状に配置している。中心に91㎝角のスペース(ボイドA)が残る。この構成をそのままに、もうひとつ東南方向に増設した格好になっているのが1階の平面で、91㎝角のスペースが中心にひとつ(ボイドB)、周辺にふたつ(ジャンクションCとD)生まれている。
 直前に完成した別荘「アンモナイトの家」(09)でも、空間単位の大きさは異なるが、同じような矢車状の配置の平面としているので、横内さんとしては経験ずみであり、それをさらに精緻に突き詰め、原型を求めて探究したのだろうと推測される。
 それにしても図面を見る限りでは、システムを強引に適用したのではないかと懸念されるほど明快な構成だ。これ以上は突き詰めようのない原型にたどり着いたかのようにもみえる。しかし実際に内部を体験すると、システムの弊害は何ひとつ見当たらないばかりか、その存在は遠く消え去って、驚くほど多様で豊かな空間が広がっていた。

>>「ヒメヒャラの森の家」の1F平面図を見る
>>「ヒメヒャラの森の家」の2F平面図を見る
>>「ヒメヒャラの森の家」の断面図を見る
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Movie 「ヒメヒャラの森」

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