
京都の職人から
学ぶこと
1年近くにおよぶ設計期間は、横内さんが図面を描いて職人さんのところへ持っていき、だめ出しを受けて描き直すことの繰り返しだったという。障子の図面を建具屋さんに見せると、「こんなもん、つくれまへんわ」と取り合ってくれない。でも、「東京から来たばかりで何もわからないので教えてください」と頭を下げると、「じゃあ教えたる」とだめな理由を全部指摘してくれたそうだ。たとえば京都の上等な障子は、手漉きの和紙の大きさに合わせて組子が割ってある。変な組子の障子は安物の障子紙しか張れなくなるからよくない、といった具合。
職人さんはひとたび信頼関係ができると、いろいろなことを教えてくれた。それは彼らも地方から修行に来てそのまま居ついた人が多く、その苦労を知っているため、よそ者に対して親切なのだ。京都の排他性はよくいわれるところだが、そんな感じは全然しなかったと振り返る。
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