特集2/ケーススタディ

京都の
伝統から
学ぶこと

 京都に来た横内さんは、和風の作法や職人さんのことなど、ここで学べるものは10年間かけて全部身につけようと考えた。設計の仕事がほとんどなかったこともあり、週に4日くらいは古い建物を見てまわる。すると、かつてアメリカで悩まされた気候風土や文化についての違和感が、溶けてなくなっていくように思えたという。
 ポストモダンの全盛期を経て、90年代にはバブルが崩壊し景気が落ち込む。同時に日本の文化的評価は下がっていった。それは自分たちの文化のルーツを見失い、地に足が着いていなかったからだと横内さんは指摘する。近代は人間の生活を豊かにしたが、その行きすぎはよくない。伝統的な美意識や価値観が街中に残る京都にあって、そうした視点が定まっていく。

「私たちの生活スタイルは大きく変わり、古い日本家屋でそのまま暮らすのは無理があります。それを生活面でどのように現代化していくか。それを自分のなかで消化し再構築させることが最大のテーマでした」


>> 「若王子の家」の平面図を見る
>> 「若王子の家」の断面図を見る

  • 前へ
  • 3/10
  • →
  • Drawing
  • Profile
  • Data

TOTO通信WEB版が新しくなりました
リニューアルページはこちら