
比類なき建築。それが象設計集団の建築、とりわけ「ドーモ・アラベスカ」の印象である。木造といっても、それらしい骨格が平面図からは読みとれないし、玄関まわりの葉っぱのレリーフも特異すぎて、何かと比べようという気を起こさせない。しかし、やれ構造はなんだ、やれ設計思想はどういったものか、などといった建築の専門的な問答とは関係なく、「ドーモ・アラベスカ」には人を具象に引きつける力がある。その力はどこから来るのだろうか。
現在、建築業界は内輪の常識にとらわれすぎて、新しい建築が生み出される足枷になっていることはないか。「ドーモ・アラベスカ」の力の源は、建築よりももっと大きな領域と向きあった、足枷とは無縁の創造性にあるのだと思えてならない。





