特集/ケーススタディ5

表象の抵抗 富田玲子さん ホームページ へ

 比類なき建築。それが象設計集団の建築、とりわけ「ドーモ・アラベスカ」の印象である。木造といっても、それらしい骨格が平面図からは読みとれないし、玄関まわりの葉っぱのレリーフも特異すぎて、何かと比べようという気を起こさせない。しかし、やれ構造はなんだ、やれ設計思想はどういったものか、などといった建築の専門的な問答とは関係なく、「ドーモ・アラベスカ」には人を具象に引きつける力がある。その力はどこから来るのだろうか。
 現在、建築業界は内輪の常識にとらわれすぎて、新しい建築が生み出される足枷になっていることはないか。「ドーモ・アラベスカ」の力の源は、建築よりももっと大きな領域と向きあった、足枷とは無縁の創造性にあるのだと思えてならない。

参考文献・出典
*1・2/富田玲子『小さな建築』みすず書房、2007年
*3・4/SD編集部編『《現代の建築家》象設計集団』鹿島出版会、1987年
*5/中川武『木割の研究』私家版、1985年


>>「ドーモ・アラベスカ」のスケッチを見る
>>「ドーモ・アラベスカ」の竣工時平面図を見る

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