
ではここで、何が「箱」を建築としているのだろうか。
それは、住宅をすみずみまで設計していこうとする、初源的な情熱ではないか。ここから感じるのは、デザインへの強い意志なのだ。
近年の住宅では、「建築家があまりデザインをしすぎず、この先は建主さんのお好きなように住んでもらいます」といったコメントを聞くことが多い。しかし、この住宅からはそんな態度は感じられない。ソファをL字に納めた居間、縁甲板を張り上げた2階の船底天井、水平に揃った建具の上枠、などなど。決して革新的な手法ではないが、気持ちよい暮らしのためにそれぞれが丁寧につくり込まれている。かつて、灰皿に至るまでデザインしたいと語っていた宮脇は、予算と時間の許す限り、ディテールを突き詰めていったにちがいない。
その姿勢はたとえば、アトリエOBである椎名英三、91年、日本大学生産工学部の居住空間デザインコースをともに始めた中村好文らによって、さらに若い世代へと引き継がれている。
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